横浜の親会社TBSホールディングス(HD)からゲームサイト「Mobage(モバゲー)」の運営会社ディー・エヌ・エー(DeNA)への球団譲渡正式発表を28日に控え、24日、球界にさまざまな動きが出た。同社の球界参入に慎重な姿勢の楽天は、井上智治オーナー代行が、実行委員会やオーナー会議で「全会一致が原則」との見解を示した。また、横浜の加地隆雄球団社長(70)は、TBSHDから球団譲渡で合意したことを初めて伝えられ、来季も引き続き横浜を本拠地にすると説明されたことを明かした。

 楽天井上オーナー代行はこの日、都内で取材に応じた。「(実行委員会とオーナー会議で)全会一致で迎え入れるのが原則じゃないですか」との見解を示した。反対の理由は、同社の課金システムなど業務に対する懸念、長期保有に対する不安などが挙げられている。

 野球協約では球団の譲渡にはオーナー会議と実行委員会の4分の3以上の賛同が必要とされている。全12球団で決議した場合、9球団の同意が必要となる。だが、井上代行は「弁護士さんに聞いたら11球団ではないかということです」と、特別利害関係にある横浜を除く11球団に決議の権利があるとの認識を示した。その場合、3球団が反対すれば承認されないことになる。その上で、04年に楽天とソフトバンクが参入した際、会議では決議せず全会一致で承認されたことを引き合いに出した。「過去に決を採った事例がない。(1球団でも反対すれば難しいか、という質問に)今回もそういうことじゃないですか」と話した。

 さらに同社が買収した場合、球団名に「モバゲー」を入れる可能性があることに難色を示す声も上がった。この日、井上代行と意見交換したNPB選手会担当顧問の伊藤修氏(元中日代表)は「難しいんじゃないか」との見方を示した。04年に参入したソフトバンクが、球団名に「ヤフー」を冠するよう申請したが却下された。野球協約で明確な規定はないものの、商品名の宣伝に球団を利用してはいけないという慣例がある。伊藤氏は「パ・リーグがダメだったのにセ・リーグはOKとなるとおかしくなる」と話した。

 実行委員会は来月9日、オーナー会議は12月1日に予定されている。