楽天が11月2日から岡山・倉敷で行う秋季キャンプで、今季まで阪神でプレーした下柳剛投手(43)の入団テストを行う方針を固めたことが30日、分かった。21年目の今季は未勝利で、阪神の来季戦力構想から外れた。球界関係者の話を総合すると、下柳は現役続行に極めて強い意欲を持っているという。星野監督以下首脳陣が直接チェックし合否を決める。

 下柳が楽天の入団テストを受ける。阪神退団が決まった後も妥協なき練習を継続、現役続行へ向けた準備を怠っていない。関係者によると「打撃投手でもいい。いかなる環境でも投げたい」と、情熱もいっこうに衰えていないという。今季5位からの巻き返しを期す星野楽天が、ベテランの今をジャッジする。

 楽天が左腕に着目した理由は、3球団を渡り歩き、中継ぎ、先発と通算129勝を稼いだその力量だけにとどまっていない。来季創設8年目を迎えるチームに「生きた教材」を加えたい狙いがある。投球術は言うまでもないが、プロ意識の塊である下柳の加入は、良質な相乗効果をもたらすと踏んでいる。

 40代になり、なお全力で勝負に臨む姿勢が高く評価されている。登板日へ向け黙々と走るのは恒例で、ランニング量は現在でも球界随一。登板間隔が不規則にあいてもキッチリ当日にピークをあわせ、ゲームメークする。楽天投手陣は先発を中心に20代が多い。その一方で、中継ぎ陣には30代半ばの円熟期に差しかかる世代が多い。若手にとっては最高の手本として、ベテランにとっては最高の発奮材料として、打の松井稼と並んで、投手陣の支柱を担う資質は十分ある。

 キャンプ中のテストで一定の力量を示せば入団の運びとなる。星野監督は当時阪神監督だった03年、下柳をトレードで獲得。10勝を挙げリーグ優勝に大きく貢献した。9年ぶりにタッグ復活の可能性は高い。

 ◆下柳剛(しもやなぎ・つよし)1968年(昭43)5月16日生まれ。長崎市出身。90年ドラフト4位でダイエー入団。95年オフにトレードで日本ハムへ。97年から3年連続60試合登板。03年から阪神。05年に15勝で最多勝。通算21年で129勝104敗22セーブ。身長184センチ、91キロ。左投げ左打ち。