新生「横浜DeNAベイスターズ」の新監督の最有力に浮上した工藤公康投手(48)が22日、現役引退を示唆した。横浜市内の自宅で取材に応じ、監督候補に名前が挙がったことに「話はきてないけど、大変光栄です」と好意的に受け止めた。昨季限りで西武を退団。今年1年は“浪人”して現役続行する決意だったが、現在は左肩痛で投球できないことを明かした。今月中にも去就を決める考えで、現役生活にピリオドを打つ可能性が高くなった。

 選手として07~09年に在籍した横浜には思い入れがあり「強くなってほしい。もっと力があるんじゃないかと思うし、まだ力を出せていないとも思う」。チームの現状、課題を知るだけに、低迷脱出を願う気持ちも強い。指導者への興味を認めた一方、こだわってきた現役続行に揺らぎが生じている。「今年は被災地にいって投げて、リハビリして(肩が)壊れての繰り返しだった。子どもたちに思い出をつくってあげたかった。最終的に(現役が)できなくなったとしても、後悔してない」。東日本大震災の被災地を野球教室で回り、笑顔見たさに投球を続けて体に負担をかけた。

 痛めた左肩の状態については「医者に関節唇の炎症と診断された。治すにはそれなりに時間がかかるといわれている」と、早期復帰が難しい見通しを示した。年明けに渡米し、トライアウト挑戦を目標にしてきたが「アメリカにいくにしても、2月には投球できないと迷惑がかかる。投げることを逆算して、来年どうするか、11月中には結論を出したい」と引き際も視野に家族会議を行う意向だ。実働29年のプロ野球記録を持つ224勝左腕。横浜の新監督候補にも浮上した不屈の48歳に、大きな決断の時が近づいている。【柴田猛夫】