高木“営業部長”が動きだした。中日高木守道新監督(70)が29日、中日ドラゴンズ後援会長である中部電力・三田敏雄会長(65)を表敬訪問した。その席で本拠地ナゴヤドーム観客動員を増やすための協力を願い出た。主力選手のオーバーホール先を電撃訪問するなど70歳とは思えないフットワークを披露する新監督は自ら営業することにも意欲を見せた。

 70歳の指揮官が連日、精力的に動いている。高木監督がこの日は“営業マン”になった。自身の就任会見よりも早く、真っ先に表敬訪問に向かった人物は中日ドラゴンズ後援会・三田会長だった。名古屋市内の中部電力を訪れると、応接室で同会長に歓迎された。

 「私が子供のころ、あこがれていた、夢だった方が監督になられた。うれしくて仕方がない」

 最大級の歓迎を受けた新監督だが、談笑の中でもしっかりとお願いだけは忘れなかった。まず、最初にしたことは“営業”だった。

 「後援会長ですからね。応援していただくというよりは、ナゴヤドームにたくさん人を連れて来て下さいとお願いしたんです」

 球団史上初の連覇を達成した今季はCS、日本シリーズなどで観客動員を伸ばした。ただ、球団はシーズン中の動員数は3年連続で前年比減少に悩んでいるだけに、高木監督が最もバックアップしてもらいたい部分だったようだ。

 「(三田会長は)社員をたくさん連れて行きます…とは、おっしゃってませんでしたが、私を知っている世代だけでなく、若い人にも何とか応援していただこうと思っている。私はサインを『守道』にしたんですよ。『守道、頑張れ』と皆さんに応援してほしい」

 この日、高木監督が三田会長に渡したサイン色紙には「守道」と新しいサインが書かれていた。老若男女に受け入れられるようにと本人が考案したという。涙ぐましい(?)営業努力とサービス精神で少しでもファンの目を引きつけようという姿勢がうかがえた。

 ただ、後援会長からの注文はじつにシンプルだった。「注文ですか?

 たった1つです。優勝してくださいと言いました。3連覇でも、4連覇でもしてほしい」。三田会長がこう言ったように、やはりファンが最も望んでいるのは勝利だ。熱心な営業努力とファンサービスをアピールする新指揮官。あとは結果がついてくれば、本拠地が超満員となる日も来るだろう。【鈴木忠平】