工藤公康投手(48)との監督就任交渉を打ち切った横浜DeNAが、新監督候補を元巨人の中畑清氏(57)に一本化し、近日中に正式要請することが6日、分かった。工藤体制で進めていたコーチ人事は白紙に戻し、高田繁新GM(66)主導で、早急に組閣に着手する。春田真オーナー(42)らフロント陣はこの日、横浜市役所を訪れ、林文子市長に球界参入のあいさつ。地元密着に向け、精力的に動いた。

 急転直下の“破談”から一夜明け、早くも新監督候補が絞り込まれた。工藤に正式要請する以前にも候補者として名前が挙がっていた中畑氏に一本化。同氏の明るいキャラクターが、「新生横浜」が求めるファンへの情報発信力と合致した。林横浜市長へのあいさつ後、中畑氏のイメージを問われた池田球団社長も「個人的には大洋ホエールズ時代からよく見ていました。個人的には昔から好きな選手。指導者としても好きな選手です」と好印象。この日、高田GMから就任への意思確認が行われたとみられ、本人も監督を目標の1つに掲げていることから、近日中に正式要請という運びとなりそうだ。

 監督候補が絞り込まれたことを受け、コーチ人事にも着手する。工藤招聘(しょうへい)を進めていた際には元監督の山下大輔氏(59)をヘッドコーチ候補として組閣を進めてきた。工藤は指導者経験がなく、投手であることから、野手出身で経験豊富な山下氏をサポート役として就任要請を準備していた。しかし、中畑氏は日本代表のヘッドコーチを務めるなど、指導経験はあるものの、野手出身。監督とヘッドコーチの組み合わせは投手-野手、野手-投手が一般的だが、現状では水面下で組閣作業を進めている。

 その他のコーチについても、改めてリストアップから始める。残留が決まっている高木、中根、馬場、木塚の4コーチ以外は白紙。高田GMも「なるべく(早く)じゃなく、早く決めなきゃいけない」とし、春田オーナーから期限は設けられていないものの、人選を急ぐことを強調した。

 波乱のスタートとなった新生ベイスターズだが、スピーディーな決断で、早くもIT企業のオーナー“らしさ”を発揮。フロントが一任する高田GM主導で、大きな遅れを取り戻す。【佐竹実】