日本ハム外野陣にコンバート案が浮上している。今季、ほぼ固定されていた中堅の糸井と右翼の陽岱鋼を入れ替えるもの。栗山英樹新監督(50)が掲げる複数ポジション制の第1案だ。来春の沖縄・名護キャンプで試す予定で、チーム力の底上げを目指していく。

 先入観にとらわれない、栗山監督が動く。新たなチームづくりの目玉になるかもしれない糸井の右翼手構想。中堅手として3年連続ゴールデングラブ賞に輝いた名手にも、フラットな視線を向けた。「普通にやれば(賞を)10年間、取り続けられる選手。でも、まだまだ能力は発揮していない」と求めるレベルは高い。

 コンバートによって生かしたいのは、糸井の強肩だ。得点圏の二塁や三塁から遠い守備位置の右翼手に求められる要素で、イメージされるのは大リーグで活躍するマリナーズ・イチロー。タッチアップなどで三塁を狙う走者をアウトにできる矢のような送球は、相手を脅かす武器になる。

 陽も今季は右翼手として安定した守備を見せた。中堅でも安定感が増せば、選手起用の幅も広がる。さらに、他の選手への刺激にもなり、競争心をあおって全体のレベルアップにつなげていく意図も見え隠れする。

 栗山監督が柔軟な発想で、導き出した最初のコンバート案。これ以外にも、選手個々の最大限の力を引き出したいという思いから、思考を巡らしている。すべては「結果」を求めるため。“栗山流”を出していきながら、チームを1歩ずつ前に進めていく。