ヤクルト館山昌平投手(30)が、延べ16カ所計91針の手術を乗り越え、4度目の復活を期した。12日、ハワイ自主トレから一時帰国し、埼玉・戸田球場で経過報告を行った。昨年11月に最近10年間で4度目となる右手中指血行障害の手術を行った。直後は投球練習を再開するのは2月中旬に設定していたが「順調です。2月1日からブルペンに入ろうと思う」と、キャンプ初日に前倒しする考えだ。

 寒風吹く河川敷のグラウンドで、硬式球を握り、マウンドの後方から変化球も交えた。例年より10日ほど早い仕上がりに表情は明るい。日大4年時の右肩に始まり、今回は右上腕部、手のひら、人さし指、中指と4カ所にメスを入れた。計46針。右肘2度を含めて、4度の手術を合計すると「91針だと思います」と明かした。

 それでも一流投手であり続けるのが、館山ならではだ。治療法や、練習法は常に研究を続け、自らの糧にしていく。自主トレ先のハワイから11日の夕方に帰国し、30時間弱の滞在で再びハワイ入り。「右腕だけに100針近くメスが入ってるわけですから」と、現地では左腕とのバランス、意識を均等にするトレーニングを積む。「ロルフィング」という体の根源的な調和を重視する練習で、術後の経過が順調になった。

 リハビリ担当の栗田フィジカルディレクターは「順調にいけば開幕投手でも大丈夫」と太鼓判を押した。ハワイでは15キロ走、自転車30キロ、水泳100メートルの「トライアスロントレ」にも挑戦中。驚異的な回復で、1軍キャンプ帯同は決定的になった。「2月1日にブルペン入りするまでは見えてきた。例年と同じスタートは切れそう」。キャリアハイの成績と11年ぶりの優勝を目指し、傷だらけの腕を振る。【前田祐輔】