原点に戻って復活を期す。楽天岩村明憲内野手(32)が15日、沖縄・宜野湾市立野球場で合同自主トレを公開した。自主トレ後の野球教室で約150人の少年らに向かって言った。「一番大事なことは見て覚えること。ものまねをしてください。僕は掛布さんのフォームを見てずっとやってきたので」。ミスタータイガース掛布雅之が打撃の手本になっていると明かした。

 日本復帰1年目の昨季は極度の不振に陥った。「もちろん、今も自分の映像は見てますよ。研究なくして打てるなんて思ってない」と、原因追究のために掛布のフォームと常に照らし合わせている。85年の阪神-巨人戦でのバックスクリーン3連発を見たのは6歳のとき。その打撃に憧れ、左打者転向を決意した。「右だったのを左に変えるくらいだから、相当ですよ。まねするしかないでしょう」。四半世紀が過ぎても、その思いは変わらない。

 「基本は掛布さんで、中西太さんや若松さんのいいところを、自分なりに変えてやってきました」と、見て学ぶことは岩村の原点。今回の自主トレは日本ハムの鵜久森ら10人と行っている。「鵜久森にしても、あれだけの長打力は、どういう打ち方をしてるんだろうって見てます。新しい発見にもなる」と言う。年齢や球団は関係ない。

 昨季は72試合の出場に終わった。あえて数字の目標は立てない。「やるしかないでしょう。結果を出すしかないと思ってます」。言葉ではなく行動で示す。【斎藤庸裕】

 ◆担当記者が見る掛布氏と岩村

 両者に共通するのは逆方向への長打力だ。その理由は2点挙げられる。

 (1)フォロースルーが大きい

 岩村はボールを捉えた後、時代劇でサムライが相手を切るときの刀のように、バットが大きい軌道を描く。それは掛布氏も同じ。フォロースルーが大きいとボールを押し込む力が強くなる。

 (2)体全体を使ってスイングする

 2人とも下半身を柔らかく使いスイングする。巧みなバットコントロールで当てるのではなく、下半身で粘りながらしっかり振ってボールを捉える。だから175センチの掛布氏も、176センチの岩村も逆方向に飛距離が出る。