日本ハム武田勝投手(33)が、原点で恩師超えを目標に掲げた。15日、静岡・伊豆市で自主トレを公開。社会人シダックス時代に春季キャンプを行った同地で、ランニングや体幹トレーニングを中心に肉体を追い込んだ。今年34歳となるが、体はまだまだ進化中。プロ入り前に師事し、45歳まで現役を続けた元楽天監督の野村克也氏(76)のように、プロで長生きすることを目指す。

 7年ぶりに武田勝が原点の地へ戻った。シダックス時代の監督、野村氏にプロ入りへの礎を築いてもらった伊豆で肉体を追い込んでいる。この日は、午前8時半からスタート。キャッチボールは最後の30分間だけで、ランニングと体幹トレーニングが中心だ。「体幹だけは、いつやっても慣れない」と、苦痛の表情を浮かべながらメニューを消化していった。

 当時の言動がよみがえってくる。プロ入り後、初めて思い出の場所を利用するが「今でも慣れない。緊張感がある」と、記憶も鮮明だ。「投手はコントロールとキレと常に言っていた。それを信じて生きてきたのは、間違ってはいなかった」と感謝する。入団時は、背番号と同じ38歳までを区切りと決めていたが、今は違う。「そのあとは1年1年…」。恩師は45歳まで現役にこだわった。自身も息の長いプロ生活を目指すようになった。

 そのために、強い体を手に入れようとしている。「(同行するトレーナーに)体は年々進化していると言われました」と、今年34歳を迎える体は強度を増している。ただ、ムキムキの体ではない。投球に必要な部分だけを強化。洗練された投球術のように、肉体にもムダを排除しようとしている。

 昨年は終盤、左肘に違和感を覚えた。故障は選手寿命を左右する。「体の使い方を1、2個増やして、引き出しが増やせれば」。自分の体をしっかり把握し、恩師よりも長い野球人生を送る。【木下大輔】