すまんが、やらしてもらう!

 プロ29年目の中日山本昌投手(46)が16日、高木監督の「開幕投手は昌」発言に反応し、大本命吉見に“宣戦布告”電話をしたことを明かした。鳥取市内のトレーニング施設「ワールドウイング」で自主トレを公開。10年ぶり5度目、実現すれば98年広島大野の42歳7カ月を大幅に更新する最年長開幕投手に本気になった。

 ホントに言っちゃったの?

 山本昌は慌てて携帯電話を耳に当てた。電話の相手は昨季18勝の大黒柱、吉見だった。8日にテレビ出演した高木監督が「開幕投手は昌」と明言。9日の速報ニュースを携帯電話でチェックして、その事実を知った。仰天したベテランはすかさず開幕投手候補の大本命に直電した。

 山本昌

 ゴメン、ゴメン。気を悪くするなよな。こんなことになってゴメンな。ただ、ほんとにオレがやるかもしれないぞ。

 吉見

 は、はい…。

 実は昨年12月、台湾での名球会の総会で高木監督から開幕投手を任せると告げられていた。「いいんですか?」と返したが、もちろん冗談だと思っていた。それが真剣だったとは…。慌てて吉見に電話でフォローしつつ、冗談めかして先制パンチを食らわせた。

 いくつになっても、投手にとって特別な勲章に違いない。山本昌も97、98、01、02年と過去4度、開幕戦で先発した。「普段投げるより3倍疲れる。ただ、やり遂げたときは気持ちいい」と別格だという。3月30日、開幕の広島戦に先発すれば10年ぶり。98年広島大野の42歳7カ月を大幅に上回る最年長記録となる。

 「冷静になったら高木さんが発奮材料を与えてくれたということ。うちには絶対的なエースがいるんだから。まあ、深く考えずに今はそこに向けてやる。調子が良ければ頑張りたい。名古屋に帰ってオープン戦の1戦目くらいには仕上げるつもりでいく」

 “一昔”前とはいえ、4度も開幕投手の経験があるのは強い。シーズンまでの調整法は熟知している。今季の日程もチェック済み。開幕から逆算し3月2日広島とのオープン戦(ナゴヤドーム)に先発すれば開幕に照準がピタリと合う計算だ。「こんなに早く言われたのは初めてだよ」。異例ともいえる3カ月前の開幕通告が、46歳の闘争心に火をつけた。【桝井聡】