兄貴が残してくれた“宿題”を、あらためて胸に刻んだ。日本ハムの中田翔内野手(22)が21日、日本ハムグループの商品展示会が行われた京セラドーム大阪で、米大リーグ、レンジャーズ入りが決まったダルビッシュ有投手(25)の入団会見の模様を、テレビを通して見守った。「(日本記録の)56本打つまで認めないと言われたことが忘れられない。少しでも近づけるように頑張りたい」と決意を新たにした。

 今でも、頭から離れない。10年8月6日楽天戦(札幌ドーム)。自身初の2打席連続アーチがマウンドで苦しむダルビッシュを救った。入団以来、野球でも私生活でも容赦ない“愛のムチ”で鍛えてくれた兄貴分と、初めて一緒にお立ち台へ。「褒めてもらえるかな」と思っていた中田だったが、ダルビッシュから返ってきたのは「2本で満足するな」。厳しい言葉は愛情の裏返し。さらにエースは「56本」という数字に、中田への期待を込めた。

 「これからは一ファンとして応援したい。やっぱり、どこのユニホームを着ても似合いますね」とダルビッシュの挑戦を喜びながらも「大きな穴が開いたような感じ。同じユニホームでやることがないと思うと寂しいですね」としんみり。同じユニホームに袖を通す可能性があるとすれば、直近では13年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)となる。「まずは自分が結果を残してから」。次は、日の丸のユニホームで-。もう1度、同じステージで戦う日を信じて、悲しんでいる暇はない。【中島宙恵】