中日山崎武司内野手(43)が22日、キング打法で定位置取りに挑む考えを明かした。10数年ぶりにバットを変える狙いは、統一球対策&30発以上の本塁打量産だ。昨季両リーグ最多の48発の西武中村からヒントを得た。夢は広島との3月30日開幕戦(ナゴヤドーム)で4番を務め、開幕候補・山本昌投手(46)とお立ち台に上がることだ。

 ブランコとの一塁競争勝利へ、山崎が新しい相棒を準備した。ニューバットの重さは従来と同じ880グラム。だがスイートスポットを数ミリ細く削り、その分重心を数ミリ先端寄りに動かした。かつての本塁打キングが、復活の量産型を選んだ。

 山崎

 10年落ちの(一塁)グラブは変えないけどキャンプで試します。おかわり君も“詰まるより、遠心力のかかる方が飛ぶ”と言っていたのでね。本塁打にはこだわって30本以上打ちたいし、統一球対策でね。

 昨季両リーグ最多の48発。モデルは飛ばない統一球をモノともしなかった西武中村だ。同じ右の長距離砲。シーズン中「どうやって打ってるの」と尋ねたこともあった。26年目で今年44歳。阪神金本らと並ぶ現役最年長野手が、15歳下の新キング打法を取り入れる。

 山崎

 結果を出すためには自分も技術も変えないと。だから道具も変えます。

 バットを変えるのは前回の中日時代以来、実に10数年ぶりだ。「一流は道具を変えない」。握りやスイングの感覚を大事に“変えない男”で通ってきた。だがポリシーに背いてまで、ミリ単位でも相棒を変えるのは大きな決断。すべては大きな夢実現のためだった。

 山崎

 昌さんも開幕投手、本気だしね。その時、僕が一塁を守ってたら最高に幸せ。ブランコに勝って僕が出ること、イコール4番と思う。それで一緒にお立ち台に上がれたら泣いちゃう。引退してしまうかも。

 入団時から同じ釜の飯を食った3歳上の先輩が、故障から再起する姿は究極の励みだ。3・30広島戦。ミスター長嶋を抜く18年連続開幕スタメンを4番で飾り、先発濃厚な前田健を撃つ。そして山本昌との89歳コンビでヒーローになる。夢にはもっと続きがあった。

 山崎

 (古巣の)楽天戦では、最近鼻の下が伸びまくってる田中マー君の155キロの真っすぐを本塁打して4つ勝ちたい。そして3連覇と日本一。(中日Vの)99年はケガをしたし、25年やって1度も日本シリーズに出たことがないんで。

 この日愛知県内で3回行ったトークショーは山崎節全開。さらに4つの夢を加えた。あと42本に迫る長嶋茂雄の444本塁打。あと219本の2000本安打。あと2年で届く球界野手最長、野村克也と並ぶ45歳現役。そして将来は監督に…。おじさん族の星が新相棒に夢を託す。【松井清員】

 ▼中日山崎は95年4月7日阪神戦(7番右翼、ナゴヤ)以降、昨年まで17年連続で開幕スタメン。今年の開幕戦に先発すれば、巨人長嶋(58~74年)を超える。現役最長は、谷繁(横浜、中日)が94年から18年で継続中。金本(広島、阪神)も17年。球界最長は張本勲(59~81年)野村克也(57~79年)の23年。