阪神城島健司捕手(35)が本業の「キャッチャー」での開幕戦出場が絶望的な状況であることが3日、分かった。昨年8月に左膝を再手術。再起を目指している春季キャンプ中、ブルペン捕球など捕手練習を回避することが、本人と首脳陣の間で確認済みであることが分かった。新たに練習を開始した一塁の守備で開幕スタメンを目指す。

 「捕手城島」の開幕アウトが決定的な状況となった。29日まで行う春季キャンプで、キャッチャーとして練習メニューを消化する予定がないことが発覚した。

 球団関係者は言う。「キャンプ中にブルペンで球を受けることはない。開幕マスクは無理だろう。暖かくなってから、ということになる」。捕手にとって、2月は投手陣の状態や特徴を把握する重要な時期。ブルペンで捕球できないのは、致命的と言える。

 昨年8月に左膝を再手術し、懸命のリハビリで今回のキャンプに乗り込んだ。打撃や走塁などには大きな問題はなく、初日からフルメニューをこなしている。しかし、膝に負担のかかる捕手の動作までには、まだ相当な時間を要する見通しだ。再び痛めれば、選手生命も左右する。捕手の練習再開に、慎重にならざるを得ない状況だ。すでに首脳陣と城島本人の間で話し合いが行われ、ブルペンに入らないことが確認されている。

 置かれた立場は極めて厳しいが、開幕スタメンの可能性が消えたわけではない。キャンプ初日から、一塁の守備練習を開始。1月の自主トレ中には、捕手との併用プランについて、こう話している。「選手は将棋の駒ですから。やってくれというところでやらなきゃいけないのは、選手として当然。18歳でプロに入ってから、トレードやコンバートだったり、そういうのはつきものですから」。ブラゼルや若手の森田らと一塁でシートノックを受け、前向きに新しい環境に順応しようとしている。

 一塁手として3月30日の開幕戦を目指すことになったが、捕手への情熱は衰えていない。周囲にも、復活マスクへの意気込みを話している。ただし、今はプロのプライドにかけて、試合出場にこだわる決意だ。「ポジションを勝ち取るという意識は毎年変わらない」。年始に示した誓いの言葉を胸に、一塁の本命であるブラゼルとポジション争いに臨む。

 ◆阪神の正捕手争い

 開幕マスクの最有力候補は、35歳のベテラン藤井彰だ。昨年は城島が故障離脱した6月以降、レギュラーを務め、安定感のあるリードで投手陣を引っ張った。移籍2年目でさらに投手とのコミュニケーションを深め、開幕戦に向かう。レギュラー候補の2番手はプロ9年目の小宮山が挙がる。昨年は自身最多の38試合に出場。さらなる成長が期待されている。このほかにも、今回の1軍キャンプに招集された清水、岡崎らがレギュラーの座を狙う。

 ◆城島の守備位置

 日本では捕手で1245試合、一塁手で28試合出場。一塁を守った28試合のうち先発一塁は11試合。最後の一塁はソフトバンク時代の05年9月7日オリックス戦で、5番一塁で先発出場した。その後はマリナーズ時代を含め、捕手以外のポジションは守っていない。<城島の苦闘メモ>

 ◆2軍スタート

 10年11月に左膝半月板縫合術を受け、2軍キャンプスタート。3月1日に1軍に合流。

 ◆開幕マスク

 4月12日の開幕戦広島戦に7番捕手でフル出場。

 ◆離脱

 6月5日オリックス戦を最後に実戦を離れる。6月10日に「右肘内側側副靱帯(じんたい)損傷」と診断され、出場選手登録抹消。

 ◆手術

 8月16日に左膝の再手術。右肘は手術を回避した。9月2日に西宮・鳴尾浜で左膝のリハビリを開始。

 ◆更改

 11月24日に現状維持の年俸4億円で契約更改。12年に向け「捕手で144試合出場」を目標に掲げる。

 ◆一塁もやる

 1月11日に佐世保市内で合同自主トレを公開。捕手のプライドを示しつつも「選手は将棋の駒」と一塁プランにも理解を示した。