「フォークの神様」が中日川上憲伸投手(36)にタイトル指令を出した。北谷キャンプにゲストとして招かれた杉下茂氏(86)が4日、明大の後輩でもある川上のブルペン投球を視察。汗を飛び散らせて93球を投げ込んだ元エースを見て思わず「1年間休んでいた人がこれだけ投げられるんだから十分だよ。タイトルだって十分とれるよ。カムバック賞とかいいんじゃない」と目を細めた。

 今キャンプ2度目のブルペン入りとなった川上も感触は上々のようだ。投球練習後は「前回よりもコントロールのばらつきをなくそうと思って投げた。前腕がいい感じで張ってきている」と充実した表情。杉下氏の激励を伝え聞くと「さすがにカムバック賞は僕とは違うような気がしますけどね…。まあ、のんびりやります」と苦笑い。とはいえ、2度の最多勝を獲得した男が再びタイトルを手中にすれば、3連覇はグッと近づくのは間違いない。

 ◆カムバック賞

 セ・リーグでは1974年制定。ケガや不振から復活した選手をたたえる賞で、明確な基準はなくリーグ理事会の認定による。中日からは過去、80年谷沢健一(両足アキレスけん痛から復活し首位打者)89年西本聖(前年4勝に終わり巨人からトレード移籍。20勝を挙げ最多勝)ら計6人が受賞。なお近年は両リーグとも「該当者なし」が続いており、05年以降の選出は08年阪神平野(06年オリックス在籍時フェンスに激突し重傷。移籍しレギュラー定着)のみ。