無敵ディフェンスだ!

 巨人は8日、投内連係の練習で珍しいフォーメーションを行った。2死二、三塁の想定で、二塁ゴロもしくは遊ゴロ。二塁手または遊撃手が一塁へ悪送球したのを、捕手がカバー。空いた本塁には、三塁手か投手がベースカバーする異例のもの。秦真司バッテリーコーチ(49)の発案で、練習に取り入れた。統一球2年目の今季も接戦が多いことが予想され、失点を防ぐための準備こそ、シーズンの勝敗に差をつける。

 2死二、三塁。二塁手が一塁へ山なりの悪送球。ファウルゾーンに転がるボールを捕手がカバーする。本塁には三塁手の村田が待ち構える。三塁走者の生還、1失点は、やむを得ない。だが、村田が本塁にいることで、二塁走者は本塁突入をためらう。仮に、送球をそらした一塁手がボールを拾いに行けば、その間に二塁走者も生還し、2点を失うタイムリーエラーとなる。この2点目を防ぐフォーメーションだ。

 秦コーチは昨年まで監督を務めていたBCリーグ群馬で同シフトを研究したという。秦コーチは「万が一かもしれませんが、1つのボールに対して、どう動くか。それがチームプレー」と、準備することに意義があると強調した。たしかに、悪送球をしなければ、活用する場面はない。ただ、ミスは起きる。原監督は「危機管理です」と練習の狙いを話したように、ミスした際に、ほころびを最小限に食い止めるための準備をすることが肝要だ。阿部も「統一球の導入で、大量点を取ること自体が難しい。こちらもエラーでの大量点を阻止しないといけない」と、話した。村田も「エラーで1点2点を失うと、打って返すのは厳しいですから」と練習の意義を感じていた。

 走者が三塁にいるケースで、捕手が本塁を空けるのは危険なこと。むしろ「捕手は本塁を空けないのがセオリーと習いました」という声が上がる。「子供の頃から、こうした練習はしたことがない」が、異口同音だった。バックネット裏の他球団007も騒然とした。西武編成部で元ヤクルト投手のケビン・ホッジス氏は米国では見たことがないと言い、村田が本塁カバーで走者にタッチするのを見ると「アンビリーバボー!

 試合で今のプレーがあったら、村田はヒザを故障してるよ」と声を上げた。それほど目新しい練習だった。

 年に1回あるかないかのプレーに備える。キャンプだからこそできる練習だ。備えあれば憂いなし。無敵ジャイアンツ誕生に向け、わずかな妥協もない。【金子航】