楽天田中将大投手(23)が13日、沖縄・久米島キャンプでの紅白戦に先発した。今季初実戦で2回4安打1失点。最速146キロで、球威、制球とも調整段階のため失点にも前向きだった。1月にレンジャーズ・ダルビッシュからもらった助言をもとに、取り組んできた新フォームの習得を中断することも明かした。次回は対外試合。チームの優勝と2年連続沢村賞に向かって、ギアを上げていく。

 田中は潔かった。自己評価を聞かれ「採点不能です」と即答した。「参考になりません。今の状態じゃ確認も何も。ダメなところは分かっているので修正していきたい」と淡々。修正ポイントを聞かれたときだ。188センチの高さからぐるりと見回し「皆さん来ているので」と前置きした。色めき立つ報道陣を制すように「軸足のことを言われますが、1回しまって、自分のできるフォームでやっています」と突然、明かした。

 今年1月の合同自主トレで、ダルビッシュから軸足の使い方について助言を受けた。より強い球を投げるためフォーム修正に着手。キャンプで練習を重ねたが、開幕までの時間と進み具合を比べた。「難しいから、できなかったということ」と一時封印を決めた。

 従来フォームで臨んだ初登板は、全体的に球が高かった。1回、初球を阿部に右前打。銀次に連打を許し、自らの暴投も絡み先制された。2回も新人三好に中前打と3人で終われなかった。マウンドで何度か首をかしげたが「心技体のバランスが崩れた。毎年こんなもの。悲観的にはなっていません」。新フォームの取り組みも「引き出しにしまっておきます。困ったとき、壁にぶつかったとき、また出せばいい」と前向きにとらえた。

 しまったものが、もう1つある。この日41球の内訳は直球16球、ツーシーム11球、スプリット7球、スライダー5球、チェンジアップ1球、高速カーブ(120キロ台)1球。「全球種、投げよう」と臨んだが、遅いカーブ(110キロ台)だけ外した。投げても1試合数球と依存度は低かったが「恐らくシーズン中は投げません。精度が低い」。昨季は「投げミスが多い」フォークに代わりスプリットを採用。強力な武器とした。新フォーム中断もそう。土台には自己分析力と行動に移す決断力がある。だから「着実に階段を上がっていけばいい」と先を見ることもできる。【古川真弥】

 ◆田中が挑戦した新フォーム

 詳細は明かさなかったが「映像で違いが分かるぐらいじゃないとダメなんでしょう」と自分で言うほど、微妙な変化とみられる。狙いは「軸足にしっかり(体重を)乗せて球に力を伝えるため」と説明。ブルペン投球では軸の右足で立つ時間を昨季公式戦よりもコンマ数秒、長く取り、タメの意識が見られた。