先発ローテーションを期待される阪神久保康友投手(31)が21日、宜野座キャンプの本隊からリタイアした。右肩の張りを訴えてノースロー。今日22日以降、数日間は同じ調整が続き、実戦登板も白紙になった。第3クール(11~14日)から張りが続き、回復のメドは立っていない。開幕ローテーション入りに「黄信号」がともり、和田阪神ににわかに暗雲が立ちこめた。

 休日明けの宜野座はいつもの光景ではなかった。午前中、サブグラウンドでキャッチボールを行う投手陣に久保の姿がない。本隊を離れ、左腰の張りで別メニュー調整中の福原とともにゴロ捕球。福原がノッカーの横にいるスタッフまで送球するのに対して、久保は近くのカゴに下手で入れるだけ。1度もスローイングせず球場を後にした。

 開幕ローテーションの有力候補に異変が生じた。常川チーフトレーナーは「右肩の張りです。本人と相談して2、3日はノースローにしようということ。今後は様子を見て判断します」と説明した。右肩の不調は11日から14日までの第3クールに始まり、1週間以上たったいまも続いている。投げ込みを回避して回復を待ったが、久保自身も「いつになっても張りがとれない。意外と長いなという感じです」と首をかしげた。

 船出したばかりの和田阪神にとっても予想外の狂いが生じた。1月にはセットアッパー起用構想も浮上したが、キャンプイン直前に先発継続が久保にも伝えられた。序盤から独自のスロー調整が続き、ブルペンに入る回数、球数も少ない傾向だった。19日に山口投手コーチが「久保は1クールくらい遅い」と指摘していた直後に、追い打ちをかけるアクシデントだ。

 今日22日以降の数日間はノースローで右肩の回復を待つ。久保は「1、2日で(張りは)多分、とれる。とれたらブルペン投球を再開する」と話すが、首脳陣は楽観していない。同コーチは「だいぶ遅れるな。実戦のメドは立てていません」と話した。前日20日に沖縄県内の病院で診察を受けたが異常なしと診断された。開幕には間に合う時期ではあるが、実戦登板の計画はすべて白紙になった。

 阪神移籍後の09年から先発で活躍し、31勝をマーク。その実績から、今年も先発の一員として計算されていた。鶴、秋山ら若手が先発枠を激しく争う沖縄で、久保は開幕ローテーション入りから1歩後退した。【酒井俊作】