読売巨人軍と朝日新聞の“全面戦争”が勃発した。巨人は15日、主力の6選手が入団時に契約金の「最高標準額」(1億円プラス出来高払い5000万円)を超える契約を結んでいたと報じた朝日新聞社に抗議書を送付した。球団や選手らへの謝罪などを求め、誠意ない対応ならば法的措置を取らざるをえないとの強硬姿勢を鮮明にした。これを受けて朝日は謝罪の意思はないことを表明。シーズン開幕まで2週間前に巨人と朝日がケンカの様相となった。

 巨人が朝日新聞社に送ったA4用紙3枚の抗議書は「怒り」にあふれていた。「最高標準額が計1億5000万円となることだけを強調し、上限ではないことを無視するような報道は、極めて不公正」と主張した。「社会的な批判を受けるのが当然であるかのように誘導し、選手や球団の名誉を著しくおとしめるもの」などとし、球団や各選手への謝罪と紙面での謝罪文掲載を要求。「本書面到達後、5日以内に誠意あるご回答のない場合は、法的措置を取らざるをえません」と結んだ。売られたケンカは買うという覚悟とも言えそうだ。

 ゴングは前日14日に鳴った。朝日新聞の社会部記者2人が都内の球団事務所を訪れて、6選手の入団時の契約金などを質問したという。巨人は深夜になって「朝日新聞の取材に対する反論」と題する反論を報道各社にファクスで送信。これに対抗するかのように朝日は同日深夜、電子版で「巨人、6選手に高額契約金

 球界の申し合わせ超過」という記事を6選手の実名と金額入りで掲載した。

 さらに15日付朝刊では朝日が1面と社会面でこの問題を展開。一方で巨人の親会社の読売新聞は同日付朝刊で、巨人の反論を社会面で大きく掲載。開幕2週間前という時期に、朝日と読売が紙面で応酬するという異例の形となった。

 朝日は夕方に発表したコメントで巨人の抗議書に対し、入手した内部資料をもとにした「確かなもの」と主張し、謝罪の意思は見せなかった。巨人桃井社長は午後6時45分から都内で報道陣の取材に応じた。最高標準額を超えた契約があったことをうかがわせながらも、6選手の契約金の金額については「契約の内容は言えない」と明らかにしなかった。「何でそういう金額になるんだろうと首をかしげるのもあった」と、報道は契約金に加えて設定されているさまざまな出来高払いを混同していると指摘。また「最高標準額」は「上限ではなく、目安」という01年に採択された12球団の申し合わせを根拠に「ルール違反は一切なかったというのが球団の認識」と力説した。