<オープン戦:巨人4-1ヤクルト>◇20日◇甲府
巨人大田泰示外野手(21)がオープン戦初本塁打を放った。守備から途中出場し、7回にヤクルト日高から左中間に1号ソロ。「背番号55」後継者を託されたほどの能力への期待は高く、今オープン戦ではチャンスを何度も与えられていた。ようやく結果を出し、プロ4年目で初の開幕1軍に“当確”ランプをともした。この1発を、覚醒へのきっかけにしたい。
待ちこがれた瞬間だった。7回。大田は1ボール2ストライクから、日高のチェンジアップを左中間に運んだ。足早にベースを1周し、ベンチ前の原監督の元へ。「ヘイ、泰示!」。興奮気味に突き出された両拳に、しっかりグータッチで応じた。昨季は2月の練習試合で1本塁打も、オープン戦、公式戦では1軍初アーチ。東海大相模の先輩でもある原監督の喜ぶ姿を見つつ「何より自分がうれしかった」と、ホッとしたようにほおを緩めた。
巨人を引っ張る存在にとの願いと「背番号55」を託され、4年目。高校通算65本塁打の長距離砲は、結果が出ない日々を送った。それでも変わらぬ期待の高さは「そりゃあ、もう」と痛いほど感じている。今季から「脚力と肩の力は素晴らしい。外野では躍動感があり、水を得た魚のごとくプレーしている」(原監督)との躍動感を生かすべく、外野手に転向した。レギュラー候補として何度も出場機会を得た。打席数を積むべく、4日には2軍戦にも出場した。だが、求められる快音は生まれなかった。
にもかかわらず、その類いまれなる能力覚醒への、周囲の期待感は消えなかった。原監督から教わった「練習から全力で振る」練習方法を心がけ、自分を信じた。本塁打の打席は初球ファウル。開幕10日前のこの出場機会を生かせなかったら、2軍行きもあったかもしれない。そんな土壇場で、目指す「ファーストストライクから全力でベストスイング」を実践し、ようやく1つの答えを出した。
原監督は「出るべくして出ていると見たい。本人がどうとらえているかだね」と話した。本塁打後は三振で打率は9分1厘。原監督は開幕1軍には「ギリギリですよ。必死にもがかなければいけない」と話しつつ「1軍の枠よりも、もっともっと大事な部分が彼にはあるんだから」と続けた。「これからです」と大田。「55」を背負う者が目指すべきところは、もっと先にある。【浜本卓也】


