<ヤクルト0-7DeNA>◇11日◇神宮

 中畑清監督(58)率いるDeNAが、たまっていたストレスを吹き飛ばすように痛快な今季2勝目を挙げた。1回に1日阪神戦以来の先制点を挙げると、3回には一挙5点を挙げてヤクルト石川をKO。森本を3番に置く新打線が機能し、3回で早々と今季最多得点(7)をマークした。5回無失点の先発山本は、6回途中に降雨コールドとなったため今季チーム初完封勝利をマーク。雨も味方となって連敗は6で止まり、監督を中心に大きな歓喜の輪が出来上がった。

 試合終了を告げるアナウンスに三塁側ベンチはどっと沸き上がった。ベンチの中で所狭しとハイタッチの応酬が始まる。中心にいたのはもちろん中畑監督だ。ラミレスと抱き合ってボルトポーズも見せると「本当にうれしい。この勝利は一生忘れられない、それくらいの1勝かもしれない。今まで詰まっていたものが噴き出してくれた。便秘のようだった」とはしゃいだ。1日の阪神戦以来10日ぶりの2勝目。6連敗とトンネルが長かっただけに感慨も深かった。

 それほど会心の勝利だった。1回2死一、三塁から中村の左中間適時二塁打で開始早々に2点を先制。初勝利を挙げた1日の阪神戦以来という先制点に中畑監督も「最大のMVP。最高の口火を切ってくれた。120点をあげてもいい」と褒めちぎった。さらに3回、ラミレスの2点適時打とチーム今季2本目となる小池の1号3ランで5点を加えてヤクルト石川を引きずり下ろした。4試合連続完封負けを喫し、1試合6点が最高だった打線が3回で早々と記録更新の7点を挙げる大爆発だった。

 追い込まれての打線改造がハマった。5割近い打率を誇る森本を初めて中軸の3番に据え、2番には8日に1軍昇格したばかりの山崎を抜てき。その2人が2度の得点チャンスで機能した。山崎が四球で出た1死一塁から右前打でチャンスを広げた森本は「全体的に思い切りがなくなっている部分もあったんで、そういう悪い流れみたいなものを振り切りたかった」と必死の思いを口にする。「これだけ多くの得点シーンは夢に見たけど、やっと正夢になってくれたよ」と、中畑監督が夢にまで見た打線の波状攻撃が現実となった。

 雨空をにらみながら必死で勝ちにいった。4回裏には早々にラミレスを下げて守備固めに荒波を投入。白井内野守備走塁コーチは「勝てるときに勝たないといかんからね」とニヤリと笑った。狙い通り、6回途中から雨が強くなってのコールド勝ち。森本は「最高のタイミングで雨も降ってくれた。このまま大きな波に乗っていきたいですよ。負けた分を取り返したい」と笑顔をはじけさせた。

 中畑監督は「恵みの雨と言っていい。勝てればいい」となりふり構わずに喜んだ。連敗が続く中で、たまる一方のストレスは自宅での寝酒で解消したという。「俺は繊細と天才の間だからな」と疲れの見える目でジョークを飛ばした。この日ばかりは悪酔いではなく、美酒に心から酔えるに違いなかった。【大塚仁】

 ▼DeNAが苦手のヤクルト石川を攻略して今季2勝目。石川には08年7月23日に黒星をつけて以来、8連敗中だった。開幕10試合目でシーズン2勝は92、93、06年に並び球団史上最も遅い到達。10試合以内に2勝を挙げないと球団初の屈辱になっていただけに、ぎりぎりで回避した。