<DeNA4-2中日>◇6日◇横浜

 プロ野球史上最大、26歳の年齢差アーチが飛び出した。20歳のDeNA筒香嘉智内野手が、46歳の中日山本昌投手から2打席連続の本塁打を放った。1回に1号3ランで先制すると、3回には2号ソロで貴重な追加点を奪った。投げては、筒香と同い年の国吉佑樹投手が6回途中2失点。これまた史上初となる26歳差の投げ合いを制して今季初勝利を挙げた。二十歳の若武者コンビの活躍で、チームは初の3連勝。もしかして中畑DeNAに波が来た?

 高々と舞い上がった打球が、右翼ポール際に吸い込まれた。1回無死一、三塁。筒香は、山本昌が投じたスライダーを打ち上げた。外野フライかと思われた当たりは、ぐんぐん伸びDeNAファンの待つスタンドに飛び込んだ。山本昌もあぜんと見送った今季第1号の先制3ラン。「打った瞬間は外野まで飛んでくれたな、と。風がうまく打球を運んでくれました」と、うれしそうに話した。

 26歳年上の大投手との対戦。筒香は決して受け身に回らぬと決めていた。「絶対受けて立たないように、向かっていく気持ちでした。甘い球がきたら逃さないように」。カウント1ボールからきた最初のストライクを迷いなく振り抜いた。2本目も決して甘い球ではなかった。膝元へ沈むシンカー。体勢を崩されかけたが、「最低限の崩され方で抑えることができたので、力の入ったスイングができた」。重心をしっかり落として捉えたことで、打球は切れることなく、右翼ポールに直撃した。

 昨オフからフォーム改造に取り組んできた。昨季は右手首痛の影響で8月下旬に1軍に合流。40試合で8本塁打を放ったが、51三振を喫した。「内角を攻められて、それを意識して外の球をしっかり見られなくなっていた」。克服のため目指したのは「力を入れるところだけ入れる」というフォームだった。

 試行錯誤していたキャンプ中、中畑監督からフォーム全体に柔らかさがないと指摘された。「右足が突っ張り力が入りすぎている」。筒香は助言に耳を貸しながらも、自分で納得するフォームを模索した。その結果たどりついたのが、右足にゆとりを持たせ、軽くステップする今の形。インパクトの瞬間に力を集中させ、力が抜けた大きなフォロースルーを意識している。

 試合後、中畑監督は冗談めかしながら筒香の成長を認めた。「2本とも全く力が入っていなかった。とぼけた顔してババンバン!

 昌(山本)もまさかと思ったと思うよ。これ以上、何を期待すんだ!」。力が抜けていた。筒香にとって何よりの称賛だった。

 チームは引き分けを挟み今季初の3連勝。筒香が打って、国吉が抑え…二十歳の2人が活躍して勝利を収めた。中畑監督は「若い2人が中心で勝ち取った勝利。先々に元気を与えてくれる」と喜んだ。もちろん筒香も、この日はスタートと認識している。「1カ月遅れてしまいましたが、去年より打つ機会は増える。三塁のレギュラーをつかみ取って、シーズンが終わるまでチームに貢献したい」。明るい未来を感じさせる勝利で、ゴールデンウイークを締めくくった。【佐竹実】

 ▼20歳5カ月の筒香が山本昌から2本塁打。過去には09年4月8日に20歳3カ月の坂本勇人(巨人)が45歳11カ月の工藤公康(横浜)から打った1発や、逆のケースで56年3月29日に44歳0カ月の岩本義行(東映)が19歳2カ月の伊藤則旦(毎日)から記録しているが、年齢が26歳以上離れた投手と打者の対戦で本塁打が出たのは初。ちなみに、国吉と筒香が生まれた91年の山本昌は6勝8敗で、国吉が生まれる前日の9月23日にも投げている。<筒香嘉智(つつごう・よしとも)アラカルト>

 ◆生まれ

 1991年(平3)11月26日、和歌山生まれ。横浜高出身。09年ドラフト1位。

 ◆サイズ

 184センチ、95キロ

 ◆ニックネーム

 ゴウ

 ◆登場曲

 50centの「In

 Da

 Club」

 ◆背番号

 入団時は「55」。昨季は「8」だったが、今季から巨人に移籍した村田が背負っていた「25」に変更。プロ入り3年で2回変わっており「毎年番号が変わってファンの皆さんには申し訳ないですけど、光栄なことなので」

 ◆愛車

 昨オフに昨季まで横浜に在籍した桑原から白いベンツを譲り受けた。運転技術は「自信ありますよ(笑い)」

 ◆好きな食べ物と嫌いな食べ物

 嫌いなのはいくら。「あの食感が無理で…」。好きな食べ物は「肉です!」