巨人ナインが1日、都市伝説的な吉兆に遭遇した。今日2日からのオリックス戦に備えて大阪に移動。JR新横浜駅の新幹線ホームで、線路の点検などをする専用車両「ドクターイエロー」を目撃した。その希少性から、鉄道ファンの間では「幸せを呼ぶ黄色い新幹線」とも呼ばれる列車だ。16勝4敗3分けと大躍進した5月は過ぎ去ったが、6月も幸先のいいスタートと言えそうだ。

 エスカレーターを上り、新横浜駅のホームに立つと、そこには珍しい色の車両があった。原辰徳監督(53)は「あっ!

 黄色い新幹線だ!」と声を上げると、列車は静かに発車した。まるで、ナインを乗せた新幹線を先導するかのように。その風変わりな車両こそ、ドクターイエローだった。

 「幸せを呼ぶ黄色い新幹線」。その異名を伝え聞くと、原監督は「幸せだなとは、特には感じなかったけど、そうですか。珍しいなと思いましたけどね」と、関心を寄せ始めた。幸運を呼ぶものや、縁起のいいものは、勝負師にとっては大歓迎。まして6月1日。貯金12と大躍進した5月も終わり、月があらたまった日に遭遇した吉兆。同監督は、報道陣に向かって「いいことを言うねえ~」とニヤリと笑った。

 ナインの関心も高かった。2男のパパ、村田は「息子が(鉄道模型の)プラレールを持っているので、ドクターイエローは知っていました。実物は初めてです」と感激の面持ち。「幸運を呼ぶんですよね」と都市伝説もインプット済み。通算45本塁打の交流戦キングは、勇気を得た様子だった。高田ブルペンコーチは「遠くから見たことはあるけど、ホームから見たのは初めて。ラッキーだね」と喜んだ。

 ドクターイエローの仕事は、線路の点検など。こじつけになるが、巨人にとっては5月戦線のレールを整え、維持する-そんな意味とも受け取れる。「思わず写真を撮っちゃいました」と話す高木康は「レールの点検とかする車両なんですか?

 ジャイアンツもしっかり地固めして戦っていくという意味では一緒ですね」と、吉兆とチームを結び付けた。阿部も「6月もしっかり戦えるようにしていきたいね」と幸せをモノにする構えだ。

 交流戦は首位ターン。初優勝という話題も出てくる。ただ、原監督は「終わったら話をしましょう。まだまだ半分ですから」と慎重を貫く。今日からの1戦1戦で、ドクターイエローのように、Vロードを整えていくだけだ。【金子航】

 ◆ドクターイエロー

 新幹線電気軌道総合試験車の通称。新幹線区間の線路のゆがみや架線の状態、信号電流などの電気設備の状況を検査、点検をしながら走行する事業用車両。いわば「新幹線のお医者さん」で、車体が黄色であることからドクターイエローと呼ばれる。東海道・山陽新幹線の東京-博多間を最高時速270キロで走行し、運行ダイヤは一般公開されていない。JR東海の広報によると「10日に1回程度で走行しています」。

 一般の乗客は乗れず、めったに遭遇することがないことから「幻の新幹線」「幸せを呼ぶ黄色い新幹線」などとも呼ばれ、「目撃すれば幸運が舞い込む」「いいことがある」などと人気を呼んでいる。駅売店などではドクターイエローのグッズや模型が販売されている。目撃情報が速報されるインターネットの掲示板もある。