<ヤクルト7-6阪神>◇29日◇神宮

 先制適時打を放っていた阪神平野恵一内野手(33)が、痛恨のエラーで決勝点を献上してしまった。同点で迎えた8回1死一、三塁。前進守備を敷いた。代打・藤本の打球は狙い通りに二塁へのゴロとなった。ところが、平野はこれをグラブではじき、打球は右翼へと抜けていった。結局、これが敗戦を決める1点となってしまった。昨季ゴールデングラブ賞を獲得し、今年の球宴もファン投票で出場が決定。選手間投票でも二塁手部門最多得票を集めた名手の今季4つ目の失策だった。

 「何もないです。見ての通りです」。試合後、平野はこう話しただけだった。久慈内野守備走塁コーチは1点を守りにいった場面を振り返って「勝負にいっていたわけだから。だれが見ても、バウンドがあっていなかったが、後ろに守るわけにはいかない」と渋い表情だった。前進守備、走者、人工芝、さまざまな要因が重なったと思われるが、名手のミスが敗戦を決定づけただけにスタンドの虎党も一瞬、静まり返っていた。