<広島2-6DeNA>◇6月30日◇マツダスタジアム

 広島堂林翔太内野手(20)が、豪快な1発で6月を締めた。4回1死から、藤井の直球を左中間スタンド2階席へ運ぶ8号ソロ。クリーンアップ初のアーチで、6月6本塁打は、ヤクルト・バレンティンの8本には及ばないものの、リーグ2位タイの量産ぶりだ。投手が乱れて試合は敗れたが、中京大中京時代の09年夏に甲子園を制した右腕は、スラッガーとして完全に生まれ変わった。

 充実の6月を1発で締めた。2点を追う4回1死。13年目の藤井と相まみえても、3年目の堂林は自分の間合いに引き込んだ。「しっかり自分のポイントまで引きつけて振り抜けた」。1ボールからの2球目、137キロ直球をフルスイング。破裂音を残した打球は、左中間最深部を襲い、2階席に着弾した。

 堂林

 甘い球をしっかり、スイングできました。打球は見えなかったんですけど。ビデオで見たら、2階席でしたね。ロングティーより飛んでいますよ。

 ロングティーは、練習日の最後に必ず野村監督と行う「恒例行事」。より遠くに飛ばすようフルスイングしてきたが、それを超える会心の当たりだった。好調な若武者は、前日29日に続き「5番三塁手」で起用された。クリーンアップで初めて放った8号ソロ。大歓声を浴びながらのベースランニングにも、打線の中軸としての風格が漂う。6月6本の本塁打は、8本のヤクルト・バレンティンに次ぎ、巨人阿部と並ぶリーグ2位タイ。屈指の強打者と肩を並べるまで成長した。

 同い年のスラッガーに、あらためてフルスイングの重要性を気付かされた。高校通算55本塁打を放ち、同世代最強打者としてプロに入った筒香の打席で恐怖感を味わった。

 堂林

 守っていても怖いです。振れるって良いですね。

 堂林自身、野村監督から「三振OK」の許しが出ている。リーグトップの73三振を喫しているが、目先の結果にとらわれない。打席で続けるフルスイングが、必ずや将来への礎になっている。【鎌田真一郎】