ヤクルトに負けた。でも、もっと痛いのは“虎投の崩壊”だ。阪神榎田大樹投手(25)が15日、左肘痛のため出場選手登録を抹消された。13日に球宴メンバーに選出されたばかりだが、出場辞退も決定。野球協約の規定で球宴後10試合は出場できず、1軍復帰は最短でも8月5日広島戦までずれ込む。セットアッパー離脱は、あまりにも痛い。

 完敗以上に重くのしかかるセットアッパーの離脱だった。和田阪神に衝撃が走ったのは試合前だ。開幕から必勝リレーの一角で奮闘してきた榎田の登録抹消。前日14日ヤクルト戦(甲子園)の登板後、左肘痛を訴えていた。

 常川チーフトレーナーは「関節の痛みと弱力。(握力で)力が入りにくい。数日間はノースローになる」と説明。右膝痛の癒えた守護神藤川が復帰したのもつかの間、またもアクシデントが発生した。

 榎田は14日ヤクルト戦で畠山に今季初被弾した。珍しく、捕手も捕れないすっぽ抜けの球を投げてしまうなど、明らかに精彩を欠いていた。藤川の離脱中はクローザーも務めたが、7月に入って調子は急降下。月間防御率は11・57と不調だった。この日、ヤクルト戦の試合前練習に参加したがキャッチボールを行わず。「調子も悪いので…」と口数も少なく、引き揚げた。今日16日からは鳴尾浜でリハビリを開始する。

 離脱の影響は大きい。13日には、故障した中日ブランコの代役として球宴メンバーに選出されたばかりだったが、20日の球宴第1戦までの復帰は困難と判断。全セの指揮を執る中日高木監督に球宴辞退を申し入れて了承された。野球協約第86条の規定で球宴後の10試合に出場できなくなり、後半戦開幕(25日中日戦、ナゴヤドーム)には間に合わない。1軍復帰は最短でも8月5日広島戦(マツダスタジアム)までずれ込む。

 今季は37試合に登板。2勝1敗2セーブ、防御率2・16と活躍してきた。勝ち試合の8回を任された男が脱落し、後半戦から一気に反攻に転じたいチームの思惑は揺らぐ。継投に影響する懸念もある。この日は投手陣が踏ん張れず、ヤクルトに敗戦。指揮官も険しい表情で危機感を募らせた。

 和田監督

 エノキ(榎田)を抹消して、みんなで頑張らないといけないけど、今日はちょっとピリッとしなかったな。みんなでやりくりしていかないといけないけど、今日のような投球ではいけない。

 正捕手の藤井彰も右脇腹打撲で離脱しており、故障禍は途切れない。前半戦終了の直前で、再び緊急事態を迎えた。【酒井俊作】