<楽天4-13西武>◇29日◇Kスタ宮城

 3位西武が、楽天田中を攻略して後半戦負けなしの4連勝とした。2回までに三塁打2本を含む5安打を集中して田中をKO。攻撃の手を緩めず、4投手に計14安打を浴びせて今季最多の13得点で快勝した。最大11あった首位とのゲーム差は2まで縮まった。首位が完全に射程圏に入った。

 勢いに乗る西武が、球界を代表する楽天田中をも丸のみした。

 5安打を集めて、2イニングで5点を奪取。渡辺久信監督(46)が「うちはそれほど(田中に)嫌な感じは持っていないけど、みんながしっかりマー君を相手に、集中していた。立ち上がり、リズムに乗りきらないうちに、いい攻撃ができた」と絶賛するKO劇だった。

 主役は1番栗山だった。1回、初球の145キロ直球をコンパクトなスイングで左前打。打線に勇気を与え、田中の出はなをくじいた。続く秋山とのエンドラン成功で、畳み掛けるように3点を奪取。2回の第2打席ではトドメの適時三塁打を放った。渡辺監督は「クリ(栗山)が出て、秋山がつないで、『よし、いくぞ』という雰囲気で盛り上がった」と主将の一振りが口火だと認めた。

 攻略のキーワードは、好球必打の積極打法だった。5安打ともに3球以内に決着。田中はスプリット、スライダーと超一流のウイニングショットの持ち主で、追い込まれれば、打者は不利な状況に陥る。試合前のミーティングでは、早いカウントからの勝負を意識付けた。渡辺監督が「好投手相手には当然」と説明したセオリーだが、そこに1発で仕留める高い技術が加わった。対田中12勝目(4敗)には確固たる裏付けがあった。

 エース攻略で勢いに乗った打線はまさに“お祭り”だった。8回には打者11人の猛攻で6点。今季最多タイの14安打で、今季最多の13点を奪った。3位争いだった楽天を引き離し、首位とのゲーム差は2。渡辺監督は「ゲーム差とか、まだまだそんな段階じゃない。油断すれば、足をすくわれる」と手綱を締めた上で「勝負の9月に向け、8月はすごく大事な1カ月になる」と力を込めた。パの大本命が一気に優勝争いに加わってきた。【久保賢吾】

 ▼西武は後半戦に入って1分けを挟んで4連勝。後半戦の初戦から4連勝は99年以来、チーム13年ぶりになる。6月7日時点の西武は首位ロッテから今季最大の11ゲーム差をつけられ最下位だったが、同8日以降は21勝11敗4分けの勝率6割5分6厘。この間、首位ロッテが借金8と低迷、両チームは2ゲームに接近した。6月7日時点では2割3分7厘だったチーム打率が、同8日以降は2割7分7厘。1試合平均得点も3・3点から4・4点と、打力アップの西武が首位へ近づいてきた。