引退試合より優勝!

 今季限りでの現役引退を表明したソフトバンク小久保裕紀内野手(40)が20日、引退試合の開催をやんわり“辞退”した。球団がセレモニーを検討することについて「あえて引退試合をしていただこうとは思わない。今年は最後まで優勝争いは分からないし、それより、球団にはチームが勝つためのことを考えてほしい」と語った。チームのために働き続けてきたベテランらしい考えだった。

 プロ19年目。昨年は通算400本塁打、今年も2000安打を達成。4年にわたり主将を務めた小久保は間違いなくチームの柱だ。球団がその功績を考慮し、最後の雄姿を披露する舞台を用意する流れは自然。ファンからの要望も予想される。そんな思いは理解した上で、1打席にかける今の代打稼業を持ち出し、小久保は言った。「毎打席、あれだけの拍手をもらい、本当に幸せだよ」。

 今日21日からは2・5ゲーム差で追いかける首位西武との3連戦。首位奪取の可能性もある大切なカードだ。「勝つために試合をやっている。戦術上、たとえ最終戦で打席に立てなくても悔いはない」。あらためてチームのために生き抜くことを誓った。リーグ3連覇、連続日本一という悲願を成し遂げれば、引退試合など無用。それが主将・小久保の生きざまだ。【押谷謙爾】