阪神がツインズ傘下3Aでプレーする西岡剛内野手(28)の獲得調査に着手したことが21日、明らかになった。5位に低迷するチームは今オフの再建が急務だ。走攻守そろったスタイルで、本拠地の甲子園に適した選手として高く評価している。ツ軍との契約は来季まで残っているが、この日メジャー40人枠を外れるなど立場は厳しい。今後の動向を慎重に調査していく。

 阪神がチーム再建の大型補強を敢行する。渉外担当者が来季の新戦力調査を終えて、米国から帰国した模様。リストの中に日本人の名前もあった。ツインズ傘下3Aでプレーする西岡だ。

 「外国人選手だけでなく、いろいろと調査している」と球団首脳は言った。今季が3年契約の2年目ではあるが、日本球界復帰の意思など今後の動向をチェックしていく方向だ。

 昨年オフは現有戦力でシーズンに臨む方針で、目立った補強の動きはなかった。それが思わぬチームの不振により、現在、首位巨人と24ゲーム差の5位に沈んでいる。特に打撃部門が精彩を欠いているのは明らか。チーム打率はリーグ5位で、本塁打は最下位。統一球とストライクゾーンという課題を今年も払拭(ふっしょく)できないままだ。

 さらに主力選手の高齢化は進む一方で、新たなスター選手の出現を望む声は少なくない。球団側は、若手の育成とともに大型補強の選択肢も捨ててはいなかった。

 西岡は10年オフにポスティングシステム(入札制度)を利用して、米大リーグに挑戦。ツインズと大型の3年契約を結んだ。あこがれだった舞台では負傷に泣き十分に力を発揮できない状況。2年目の今季はマイナーで開幕を迎え、8月6日にメジャーに昇格。しかし3試合に先発したが、結果を残せず再びマイナー生活となった。この日、メジャーのベンチ入り40人枠からも漏れ、今季中の再昇格は絶望的。来季も厳しい立場に置かれることは確実だ。

 本人は米国志向が強いと言われているが、日本復帰の可能性が出てきた時に備えて、阪神が獲得調査に動いた。28歳と年齢的にも若く、地元大阪出身とあって、なじみもある。走攻守3拍子そろったプレースタイルは、甲子園の広さにも適している。

 阪神には鳥谷と平野という2人のFA権取得選手がいる。球団はともに他球団への流出阻止に努める方針を宣言している。西岡とポジションが重なるが、「共存は可能」と球団首脳は力をこめる。西岡は二遊間や三塁など、多くのポジションをこなせるマルチプレーヤーであることも魅力のひとつ。レベルの高い3選手を確保することで、選手層をさらにレベルアップさせる考えだ。

 05年のリーグ制覇を最後に、歓喜の美酒から遠ざかっている。大物スター獲得による戦力アップで、かつての暗黒時代到来を阻止する。

 ◆西岡剛(にしおか・つよし)1984年(昭59)7月27日、大阪府生まれ。大阪桐蔭では3年夏に甲子園出場。02年ドラフト1巡目でロッテ入団。05年にレギュラーに定着し日本一。10年にはフルイニング出場し、シーズン206安打で首位打者、最多安打のタイトルを獲得した。盗塁王2度、ベストナインは遊撃で3度、ゴールデングラブ賞は二塁で1度、遊撃で2度受賞。06年の第1回WBCで日本代表入り。2次リーグ戦の米国戦で「世紀の大誤審」と呼ばれる三塁タッチアップの走者だった。182センチ、79キロ。右投げ両打ち。