阪神が来季の1軍投手コーチとして中西清起2軍コーチ(50)の昇格を検討していることが18日、分かった。守護神藤川のメジャー流出が決定的で、来季の投手再編は重要な課題に挙がっている。同コーチは04年から5年間、1軍投手コーチを務め、JFKの確立に貢献。その実績は球団内でも評価されており、虎投再建の役割を担う可能性が出てきた。

 チーム再建に動く阪神は来季のコーチスタッフ選定を急ピッチで進めている。14日には都内で拡大編成会議を開き、球団首脳と和田監督が深夜まで議論を尽くした。2年目を迎える和田阪神の組閣について、中村GMは「アウトラインでね」と話し、大枠の方向性が見えてきた。その中の1つのプランとして、中西2軍投手コーチの1軍昇格が検討されていることが、明らかになった。

 来季の課題として、貧打の解消が最重要課題に挙がっているが、投手陣の再編成という大きな問題も抱えている。絶対的な守護神の藤川が海外FA権を行使し、メジャー挑戦が決定的な状況になっている。重要なポジションだけに、投手力の大幅ダウンが懸念されている。後任の守護神選びは、チームの命運を左右しかねない重責だ。先発投手陣を見ても、開幕ローテーションで最年少は左腕岩田の28歳と平均年齢は高い。球団は今秋ドラフトで大阪桐蔭・藤浪の1位指名を決めており、若きエースの育成も急務だ。

 中西コーチは経験、実績ともに十分で、球団内でも高く評価されている。岡田監督時代の04年から5年間、1軍投手コーチを務め、リーグ制覇に貢献。中でもリリーフ陣を整備し、藤川、久保田、ウィリアムスの勝ちパターン継投「JFK」を確立した。明るく豪快な性格で投手陣からも人望厚く、阪神の常勝時代を支えた。09年からは2軍投手コーチとして、若手の育成に励んだ。今季は指導したプロ2年目の岩本が9日の中日戦(ナゴヤドーム)で6回を2安打無失点。プロ初先発初勝利を記録した。1軍登板を経験した歳内らとともに、来季に希望の光をともした。

 中村GMは24日からの東京遠征中に最終の編成会議を行うことを示唆した。1軍1年目の藪投手コーチやベテランの山口投手コーチも指導に尽力しており、球団と現場で最終の調整に入る見込みだ。いずれにしても、投手陣の再構築に向けた最善策を考え抜く方向だ。

 ◆中西清起(なかにし・きよおき)1962年(昭37)4月26日生まれ、高知県出身。83年ドラフト1位で阪神入団。85年は30セーブポイントで最優秀救援投手に輝いて日本一に貢献。96年に引退。通算477試合で63勝74敗75セーブ。04年から阪神1軍投手コーチを5年間、09年から2軍投手コーチを4年間務めている。