阪神有田修三ヘッドコーチ(60)がチームの成績不振の責任を取って、今季限りで辞任することが24日、分かった。同日に都内で南信男球団社長(57)と会談し、シーズン終了後の辞意を伝えた。和田監督の参謀として期待されたが、首脳陣のまとめ役として機能しなかった。後任には吉竹春樹2軍監督(51)、黒田正宏シニアアドバイザー(64)が挙がっている。

 和田阪神の参謀役がチームを去ることが決まった。有田ヘッドコーチは24日、都内で南球団社長と会談。成績不振の責任を取って、今季限りで辞任する意向を伝えた。

 有田ヘッドは昨年オフに1年目の和田体制に入った。現役時代には名捕手の呼び声高く、近鉄や巨人、ダイエーを渡り歩いた。阪神でもバッテリーコーチを務め、評論家としても自らの野球理論を披露していた。その経験と実績を評価され、初めて采配を振るう和田監督のサポート役として白羽の矢が立った。12年ぶりの現場復帰や指揮官と11歳の年の差があることを不安視されたが、バッテリー部門を強化する思惑が球団にあった。

 しかしシーズンに入ると、ヘッドコーチとしての役割を十分に果たすことができなかった。チームは4月に首位に立ったが、その後はじり貧。6月までは勝率5割前後の攻防を続けたが、7月からはチーム状態が悪化した。攻撃面では作戦が振るわず、打線が低迷。継投も裏目に出ることが多かった。有田ヘッドに求められた若手捕手の育成も進まず、バッテリーミスも目立った。1、2軍の連携についても、パイプ役として不十分だったことを指摘する声もある。

 有田ヘッドもチーム低迷の責任を感じていたのか、夏場にアクシデントに見舞われていた。8月25日の広島戦(マツダスタジアム)で体調不良を訴え、試合途中にチーム宿舎に戻った。胃腸炎の診断を受け、次戦から復帰したが、健康面でも不安を残していた。

 結局、チーム状況が好転することなく、今日25日ヤクルト戦の結果次第で、2年連続のBクラスが確定する。和田監督の来季続投は決まっており、ヘッドコーチの引責辞任という形になった。この日、球団フロントは西宮市の球団事務所で編成会議を開き、来季のコーチ人事について話し合った。有田ヘッドコーチの後任として、吉竹2軍監督や黒田シニアアドバイザーが候補に挙がっている。今回の東京遠征中に中村GMと和田監督が会談する見込みで、組閣作業も詰めの段階を迎える。

 ◆黒田正宏(くろだ・まさひろ)1947年(昭22)12月21日、兵庫県生まれ。姫路南-法大-本田技研鈴鹿から70年ドラフト6位で南海入団。野村克也選手兼任監督の控えとして存在感を示す。82年に西武移籍し85年引退。実働12年で586試合、222安打、16本、69打点、打率1割9分7厘。引退後はダイエー、阪神コーチなどを務めた。

 ◆吉竹春樹(よしたけ・はるき)1961年(昭36)1月5日、福岡県生まれ。九州産から78年ドラフト外で阪神入団。好守と俊足に加え器用な打撃で活躍。86年オフに田尾安志との交換トレードで西武へ移籍。96年オフに引退。実働15年で1128試合、553安打、34本塁打、189打点、2割6分1厘。阪神のコーチなどを歴任し、11年から2軍監督。