ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表監督に、元広島監督の山本浩二氏(65)の就任が内定したことが9月30日、分かった。ソフトバンク秋山幸二監督(50)の説得を断念し再考を迫られた日本野球機構(NPB)は、再び球界OBまで枠を広げ、当初の有力候補だった山本氏に水面下で就任を要請。山本氏もこれを受諾したとみられる。加藤良三コミッショナー(71)が今日1日の12球団実行委員会で報告し、近日中に正式発表される見込みだ。

 混迷を極めた代表監督問題が、急展開を見せた。秋山監督の説得が難しいと判断したNPBは、現役監督だけでなく球界OBの監督経験者も視野に入れて急きょ検討を始めた。そこで加藤コミッショナーが「現役は難しい」と考えていた9月中旬までは、最有力候補だった山本氏が再び浮上。正式に就任を要請する方針を固め、本人に打診した。すでに内諾を得たものとみられる。

 急な方向転換となったように、NPBとしては早急に監督を決める必要があった。11月には今回の侍ジャパンの初陣となるキューバとの強化試合が控えている。1カ月余りの間にその告知やチケット販売、代表ユニホーム発表も行わなければならない。何よりも、肝心なチーム編成が間に合わなくなる。さまざまな状況から逆算して、最終期限に設定された「9月中の監督決定」が必須だった。

 山本氏は広島で計10年間監督を務め、金本、前田ら多くの強打者を育てた。91年にはリーグ優勝するなど、経験は豊富で実績もある。また、北京五輪ではコーチとして国際大会も経験しているなどの理由から、球界OBから人選していた時期に筆頭候補に挙がっていた。だが、監督退任から7年経過している点を不安視する声もあり、また代表監督は世代交代していくべきという意見も出た。そのため現役監督を候補とする案へシフトしていった経緯がある。

 しかし秋山監督が断固として固辞したように、現役監督は代表との兼任に強い拒絶反応を示している。第1回大会の王監督、第2回大会の原監督は大きな負担を受け入れたが、今回は適任者を見いだせなかった。また、こうした混乱が表面化し、日本代表に対するマイナスイメージは計り知れない。山本氏のようなベテランにまとめてもらうことが最適と判断したようだ。

 山本氏のネックとなるブランクは、コーチ人事で補っていくことになりそうだ。秋山監督が受諾した場合、巨人原辰徳監督(54)にアドバイザー的な役職への就任を要請する案があった。現役監督ではあるものの、今回も原監督に協力を要請する可能性はある。また過去のWBCなど国際試合の経験を持つ若手コーチを呼び、3連覇を狙える体制作りをすることになりそうだ。

 NPBは今日1日の実行委員会で、正式に山本氏への就任要請を行う方針を報告。12球団の了承を得てから、近日中に正式に発表する見込みだ。