阪神が自由契約になった五十嵐亮太投手(33)に電撃交渉したことが10日、分かった。藤川球児投手(32)のメジャー流出危機に直面し、リリーフ強化が今オフの課題だ。

 阪神の動きは素早かった。7日に五十嵐がヤンキース傘下の3Aスクラントンを自由契約になると、水面下で“電撃交渉”に乗り出していた。昨年から獲得調査に乗り出していた重要なターゲット。獲得への準備は整っていた。

 リリーフ補強は今オフの最重要課題の1つだ。守護神藤川がメジャー挑戦の意志を固めている。先発陣に比べて、層の薄いリリーフ陣に大きな穴があく恐れがある。それだけに五十嵐は是が非でも獲得したい戦力だ。

 米大リーグに移籍して3年目の五十嵐は今季開幕はブルージェイズ3Aで迎えた。5月25日にメジャーに昇格して2試合に登板。ヤンキースに移籍し、6月にメジャー昇格した。3Aスクラントンでは30試合に登板し、4勝3敗10セーブ、防御率2・45という成績。33歳という年齢を考えてもリリーフ陣の中心となり得る存在だ。

 五十嵐に加えて、獲得が決定的な西岡剛内野手(28)、交渉中の福留孝介外野手(35)と今オフの補強方針は「日本人メジャーリーガー最優先」で固まった。「オーナー報告」では南球団社長、和田監督が坂井オーナーに今季の反省を報告し、課題を話し合った。和田監督は「甲子園という広い器を本拠地にするチーム。もう1度、センターラインを構築したい。外野の守備の重要性を痛感した。(外野守備は)今年に関しては苦労した。打つ方が重点になるメンバーではあるが、点をやらないというものも同時に進めたい」と話した。

 西岡に加えて、鉄壁の外野守備を誇る福留、さらにリリーフに五十嵐が加われば、課題の守備面は強化される。球団首脳によればこの3人の獲得を最優先し、ドラフトなどが終わった後、足りないポイントを外国人補強で補う方針が確認された。屈辱のシーズンを終えた和田阪神が、迅速に補強策を進める。

 ◆五十嵐亮太(いがらし・りょうた)1979年(昭54)5月28日、千葉県生まれ。敬愛学園から97年ドラフト2位でヤクルト入団。04年に37セーブを挙げ、最優秀救援のタイトル獲得。09年オフにFA権を行使してメッツ移籍。3年目の今季はヤンキースなど3球団とマイナー契約を結んだが自由契約になった。日本球界と大リーグで通算590試合に投げており、すべて救援登板。180センチ、90キロ。右投げ右打ち。