<セCSファイナルステージ:巨人1-3中日>◇第1戦◇17日◇東京ドーム

 死んだふり作戦は大成功。中日がクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦で勝利を飾った。CS初先発の2年目大野雄大投手(24)が5回2/3を1失点に抑える好投。前日16日は弱気発言を連発していた高木守道監督(71)も「勝っちゃいましたね」としてやったりだ。アドバンテージを含めて1勝1敗のタイ。下克上CS突破へ、日本一へ、守道竜が勢いづいた。

 してやったりだ。試合後、高木監督は笑いをかみ殺していた。「なんか勝っちゃいましたね。勝ちましたというより、勝っちゃいました。よう勝ったわぁ」。CSファイナル初戦で投打がかみ合い、痛快過ぎるG倒だ。前日は3連敗での終戦など超弱気発言を連発していたが、やっぱり全部芝居だったのか。G党のため息が深い東京ドームに、会心の守道節がサク裂した。

 「若い大野が頑張ってくれたのが大きい。今日一番の大きなポイントですよ」

 死んだフリ作戦を成功させた立役者は、2年目左腕大野だ。吉見、ソト、中田賢の3本柱が離脱した非常事態でCS初先発、それも首脳陣が初戦を言い渡したのは前日だった。7月31日巨人戦で同期の沢村に投げ勝った度胸と相性を買っての大抜テキ。だが、10年のドラフト1位左腕は物おじせず、140キロ台後半の真っすぐとフォークを主体に巨人打線を圧倒。5回2/3を1失点にまとめ、作戦を完結させた。

 監督は試合前、原監督にもジャブを見舞っていた。練習中、71歳からあいさつに出向き、「お手柔らかに」と頭を下げた。「向こうは分かりましたと言うとったけど、そりゃ、余裕を感じるよ」。だが、フタを開ければ打線も、大島先制、平田勝ち越し、谷繁ダメ押しと効果的なタイムリー祭り。投打で巨人のお株を奪った戦いは、弱気発言とは180度違う堂々の勝利だ。

 それでも、試合後の高木監督は、またタヌキに戻った。「一泡吹かせた」と振られると、「一泡で終わりや」とにやり。アドバンテージを含めた1勝1敗の話題にも、「だいたい(強い)巨人にアドバンテージがある方がおかしい」と笑いを取った。「これで巨人が慌てる?

 慌てん、慌てん。試合間隔が開いてたから合わんかっただけ。見とってみ、明日からガラッと変わるから」。大きな1勝に間違いない。死んだふりはまだまだ続くのか。守道劇場がCSファイナルをますます盛り上げる。【松井清員】