阪神が中日谷繁元信捕手(41)の獲得調査に乗り出すことが23日、分かった。FA権を保有している谷繁の去就は不透明だが、宣言した場合、獲得に名乗りを上げる準備を進める。来季への課題にセンターライン強化を挙げているが、特に正捕手不在は深刻な問題。それだけに常勝軍団中日を支える司令塔獲得の可能性を探っていく。

 阪神がアキレス腱(けん)とも言える捕手補強に乗り出す。最大のターゲットは常勝の投手王国、中日を支える司令塔・谷繁だ。FA権を保有している谷繁は権利の行使か否かは、まだ、明らかにしていないが、宣言した場合に備えて、獲得準備を進めていく。

 「このままでは終われない。センターラインを構築したい」

 和田監督は今シーズン終了後のオーナー報告で来季への課題について、こう語った。バッテリー、二遊間、そして、中堅という守りの根幹を強化することが再建の近道だと強調した。

 その中でも、最も懸念されているのが捕手だ。今季は城島が捕手を断念する中、ベテラン藤井彰が開幕マスクをかぶったが、故障もあって81試合の出場にとどまった。2番手候補だった小宮山、岡崎、そしてトレードで緊急補強した今成は経験不足が否めず、和田監督が掲げた守りの野球はできなかった。

 球団関係者によれば、西岡、福留、五十嵐、新外国人と並行して捕手の補強に動く方針も固まっている。ドラフトでは西濃運輸・小豆畑、東海大・伏見、早大・杉山ら即戦力捕手を上位候補にリストアップ。ただ、藤浪1位を公表して投手中心の戦略を進める以上、思うように捕手を獲得できる保証はない。そこで選択肢になるのが谷繁だ。球団はすでに動向調査を開始している。

 今年12月に42歳になる谷繁だが、今季も134試合に出場し、打率2割2分8厘、5本塁打、32打点と年齢を感じさせない活躍を見せた。特に守備では肩に衰えもなく、何より、経験と感性に裏打ちされたリードで守りの野球をけん引した。阪神も対中日戦は7勝16敗1分けと大きく負け越した。特にナゴヤドームでは得点が奪えず、わずか2勝に終わった。谷繁の存在が大きな障壁となった。

 ライバル球団から司令塔を引き抜いて、なおかつ、自軍の大きな課題が解消できれば、これ以上の補強はない。猛虎再建をかけて、球界屈指の捕手の動向を注視していく。

 ◆谷繁元信(たにしげ・もとのぶ)1970年(昭45)12月21日、広島県生まれ。江の川から88年ドラフト1位で横浜(現DeNA)入り。1年目から80試合に出場。98年横浜の日本一に貢献した。01年オフ、FAでメジャー挑戦表明。3球団からオファーも条件が合わず、中日入り。投手王国を支え04、06、10、11年リーグ優勝に導いた。新人から24年連続本塁打は、プロ野球記録。176センチ、81キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は1億8000万円。

 ◆今季の阪神の捕手事情

 城島が故障の影響で捕手としての出場を断念。正捕手候補の藤井彰は左頬の骨折などケガが相次ぎ、何度も戦列を離脱した。小宮山、岡崎らの若手にマスクを託したが経験不足は否めず、シーズン途中に日本ハムから今成をトレードで緊急補強するなどして乗り切った。城島が引退し、ベテラン藤井彰も来季37歳となることから捕手の補強は急務となっている。