森野を超えろ!

 中日井端弘和内野手(37)が10日、かわいい後輩にゲキを飛ばした。来季2年目を迎える高橋周平内野手(18)を引き連れて自主トレ先の熊本に出発。森野からのレギュラー奪取というノルマを課した。球界の名手が、12日間の共同生活でプロで生き抜く術を伝授する。

 異例のレギュラー奪取指令が飛び出した。中部国際空港に現れた井端は、まじめな顔で横にいる高橋周に声をかけた。

 井端

 来年はレギュラーとってもらわないと。とにかく試合に出てほしい。周平!

 レギュラーとるよな?

 高橋周

 は、はい。

 これまでにも、高木監督がオフのイベントで森野との正三塁手争いをあおってきた。だが、選手が競争相手でもある同僚にスタメン奪取を指令することは珍しいケースだ。

 わざわざ高橋周を自主トレのパートナーに指名した。今回で3度目となる熊本自主トレだが、昨年までは1人だった。黙々と自身のプレーを磨くことが本来の目的。今回はそのスタイルを変えた。将来、チームのクリーンアップになることを見込み、自ら声をかけたのだ。

 地獄の合宿生活を用意している。1日の練習時間は昼食を挟んで6時間。トレーニング先となるグラウンドは繁華街からほど遠い山の中だ。チームの平沼用具係を打撃投手として伴うなど、みっちりと練習に打ち込める環境を整えた。井端自身も「足りないときは俺が投げる」と打撃投手として練習を支えるつもりだ。

 「打つ方も守る方も両方やるよ。(高橋周が)ダメだったら、俺がダメってなるからね」。期待のスラッガーを預かる重圧もある。だが、今季出場41試合、2本塁打の高橋周が大ブレークすれば、チームの活性化にもつながる。レギュラーを育て上げる-。竜のチームリーダーが覚悟を持って熊本入りした。【桝井聡】