巨人が、新外国人獲得競争で、楽天との一騎打ちに敗れた。20日、マギーサイドから、来季の所属先として、巨人ではなく楽天を選択したことを通知された。巨人サイドは、この日の朝まで、マギーとの契約成立に自信を持っていた。断りの連絡を受けた後は、都内の球団事務所は一転して重苦しい空気に包まれた。「あと、サインをするだけだった。実はメディカルチェックも済ませていたんです。残念です」との声も聞かれた。「右打ちの一塁手」が、攻撃陣では今オフ最大の補強ポイントだっただけに、落胆は大きかった。

 獲得は失敗したが、マネーゲームで敗れたわけではない。現に、巨人の方が数十万ドル多い金額でオファーを出している。敗因として、外国人選手であっても、首脳陣の判断で2軍に降格させられる、巨人の契約スタイルが挙げられる。

 巨人では05年に守護神候補としてダン・ミセリ投手を獲得。開幕直後、セーブ失敗を繰り返すミセリに対し、当時の堀内監督は2軍降格を指令した。だが、ミセリは「オレの同意がなければ2軍に行かなくてもいい契約だ」と主張し、2軍行きを拒否し、球団史上最速で退団した。同じ失敗を繰り返さないよう、以来、新外国人との契約時に2軍落ちの可能性を入念に説明しているという。

 外国人選手が入団を敬遠する一因になるのではと、以前から懸念されていたが、そうした方針が、マギーとの交渉でも影響があったことも十分考えられる。「そもそも巨人には合わなかった」と、切り替えるしかない。【金子航】