中畑DeNAがまたまた補強に動いた。DeNAが沖縄・宜野湾での春季キャンプで、カージナルス傘下マイナーでプレーしたベネズエラ人のケビン・モスカテル捕手(21)をテストすることが28日、分かった。合格すれば育成契約を結ぶ方針。オフは中日からトニ・ブランコ内野手(32)ら3人を即戦力として補強してきたが、今回はまずは育成スタート。外国人という異例の捕手補強だが、長年の課題である正捕手の“自前育成”の意味合いも強い。

 DeNAが驚きの補強に乗り出した。すでに中日からブランコ、ソト、ソーサを“強奪”し、メジャーからはナイジャー・モーガン外野手(32=ブルワーズ)を獲得。さらにトレードで多村、神内、吉川、土屋、さらにドラフトでは1位白崎浩之内野手(22=駒大)2位三嶋一輝投手(22=法大)らを補強した。それに続く外国人5人目はまったく無名で、メジャー経験のないベネズエラ出身のモスカテル。ポジションも、日本での成功例の少ない捕手と異例ずくめだが、目的も外国人捕手の育成と極めて珍しい。

 モスカテルはカージナルス傘下のマイナーで4年間プレーし、最高所属は1A。通算打率2割1分3厘の本塁打2本と抜きんでた成績は残していない。セールスポイントを挙げるとすれば、185センチの恵まれた体格と強肩だ。

 チームにとって、投手陣の強化と正捕手の固定が数年来の課題だ。昨季もルーキー高城、鶴岡、黒羽根の3人を併用し、レギュラーを固定することはできなかった。高田GMが「ドラフトで即戦力の捕手をとることは難しい」と話していた通り、捕手は技術だけでなく経験が必要となるポジション。1年目からスタメンマスクを託せる逸材は競合必至で獲得できる保証はない。

 球団内で浮上したのは身体能力に優れた若い外国人を見つけ出し、一から育てるプラン。3~5年という時間をかけ、日本野球を教え込む。モスカテルは日本でのプレーを希望して自ら売り込んでくるなど、ハングリー精神も旺盛と判断してテストに踏み切った。

 キャンプでは早期に合否は決めず、約1カ月間をかけて肩、体の強さ、そして日本野球への適応力を見極める。1軍で様子を見ながら、途中から嘉手納での2軍キャンプに合流する可能性もある。

 外国人捕手の最大の壁となる日本語は、寮生活の中で習得させる。通訳も、ある程度慣れた段階からはつけない方針だ。課題は多いが、チームには同じベネズエラ出身のラミレスが在籍し、今季から2軍バッテリーコーチを務める新沼氏が育成担当であることも心強い。本気で“生え抜き”外国人捕手の育成に取り組む。

 ◆ケビン・モスカテル

 1991年5月16日、ベネズエラのミランダ出身。16歳の07年7月2日にカージナルスと契約。マイナー通算は121試合に出場して打率2割1分3厘、2本塁打、41打点。カ軍傘下で4年プレーして最高所属は1Aで、11年11月に解雇された。右投げ右打ち。185センチ、79キロ。