ホンマにあるで、4番鳥谷!

 阪神鳥谷敬内野手(31)に4番プランが浮上していることが28日、分かった。右肩痛からの復活を目指す新井、新助っ人コンラッドらの名前が挙がる中、1178試合連続出場中のキャプテンに、白羽の矢が立つ可能性が出てきた。

 4番鳥谷誕生が現実味を帯びてきた。今季の4番は誰?

 新井に新外国人コンラッド、福留…。ここに割って入る男がいた。複数の関係者によれば、首脳陣の中ではキャプテンに4番を任せるプランが浮上しているという。鳥谷は26日のトークショーで4番の可能性を問われ「ないですよ」と苦笑いしていたが、一躍、有力候補に名を連ねた。

 一番の魅力は「固定」できることだ。鳥谷は現時点で1年目の04年途中から1178試合連続出場中。腰を骨折しても、指を負傷しても、試合に出続けた。昨季は開幕4番の新井が右肩痛の影響もあり、途中離脱。昨季限りで現役を引退した金本氏、マートンも4番を任され、終盤は新井良が定着。計4人が重責を担った。仮に鳥谷が4番に座れば、「固定」という点はクリアできる可能性が高い。

 新井は現在、懸命に右肩のリハビリを続けている。コンラッドの実力も未知数。144試合安定した数字を残せる鳥谷への期待値が高くなるのは当然だ。11年はリーグトップの出塁率3割9分5厘を記録。打率2割6分2厘と苦しんだ昨季でさえ、3割7分3厘は同5位。出塁率の高いリーダーを軸とし、1発長打に依存しない打線を組もうという狙いがあるようだ。

 偶然にも準備は整えられている。09年に20発。10年に19発を記録した男は統一球の影響もあり、11年は5発、昨季は8発。常々「自分はホームランバッターじゃない」と話すが、向上のために変化を決断したことも判明した。昨季まで33・5インチ(約85センチ)だったナイキ社製のバットを数年ぶりに変更。色は「逆ポッキー型」で薄いオレンジ。従来のものに加え、34・5インチ(約88センチ)の相棒を試すという。

 34・5インチは阪神なら城島、ブラゼルなどが使用していた長距離打者向けの長さ。これまでバットを指2本ほど余して持っていたが、今度はグリップに指をかけたスタイルにもチャレンジする模様だ。ナイキ社の担当者は「長めに持って飛距離を出す狙いがあるのではないでしょうか」と説明。常に進化を狙う姿勢は4番にふさわしい。

 4番鳥谷は和田監督が打撃コーチ時代から温めていた構想。現に、昨年3月のオープン戦で初披露されている。以前から「打順は関係なく、自分のスイングをすることが大事」と話すキャプテン。4番構想は新井のリハビリ経過、コンラッドの滑り出しにもよるが、鳥谷が13年虎のキーマンであることに違いはない。

 ▼阪神鳥谷は昨年3月15日のオープン戦DeNA戦(横浜)で、公式戦も含めてプロ入り後初の「4番遊撃」で先発出場し、3打数無安打だった。鳥谷が今季「4番遊撃」で公式戦に先発出場すれば、阪神では80年9月7、8日広島戦(広島)での真弓明信以来33年ぶり。試合途中の守備位置変更も含めると、00年8月2日中日戦(甲子園)で、4番新庄剛志が8回途中から9回にかけて遊撃を守って以来13年ぶりとなる。なお、他球団では昨季、西武中島裕之が25試合に「4番遊撃」で先発している。