開幕投手はマー君で決まりじゃない?

 楽天星野仙一監督(66)は、釜田佳直投手(19)のブルペン投球に表情が緩んでいった。冒頭に投げた直球のみ30球を見て「いいボール、いいボール」とうなずきながら、ブルペンを引き揚げた。よほど満足だったのだろう。開幕投手について「WBCによるよな。そのつもりでやらせるよ」と、2年目の若手を抜てきする可能性にまで言及した。ただWBCで日本代表が決勝ラウンドまで進めば、エース田中は開幕の約10日前まで不在。負担を考慮すれば、あながちない話でもない。

 ただし、釜田が進化を見せたのは、むしろ星野監督がブルペンを去った後だった。「カーブいきます」の声とともに投げた球は、昨年までとは軌道が違った。ミットに収まる直前にストンと落ちた。「去年はどろ~んという感じ。(今年は)縦に変化させて打者の手元でブレーキをかけたい」。タイミングを取りにくくさせ「空振りが取れる」という狙いがあるという。

 意識も大きく変わった。遠投を行う際、投球の軸足(右足)1本で立ちピョンと小さく跳ね、着地すると同時に投げている。「軸足に(力を)乗せてから、前に体重移動したい」。しっかり前方へ体重移動することで、リリース位置が打者寄りになるというわけだ。「前で離せば、カーブも自然と縦変化になるんです」。さらなる成長のため工夫をこらしている。

 キャンプ初日には、練習前の声出しで「開幕投手を狙います」と宣言した。一昨年の田中はキャンプで沢村賞奪取を宣言し、有言実行した。釜田は「だんだん田中さんに近づいてきましたかね」と笑った。開幕まで約50日。開幕投手へ、目標の田中へ挑戦する。【斎藤庸裕】