FA移籍2年目のソフトバンク帆足和幸投手(33)が高速ならぬ「拘束投法」でよみがえる。15日、宮崎キャンプで2日連続のブルペン投球で計255球を投げ込んだ。この日はキャンプ最多131球で「絶好調」のひと言に力がこもる。左肩痛を抱えて1軍1試合に終わった昨年は、2日続けて100球以上を投げたことはない。「それだけ投げられる状態ということですよ」と声が弾むのも当然だった。

 ブルペン入り前のキャッチボールでは、両肘に体の開きを抑える特殊なベルトを巻いた。「去年、けがしてますから、肩が後ろに入りすぎないように。体の矯正です」と、特に左肘の関節を入念にベルトで締めた。けが再発を防止した体づくりとともに、オフには投球フォームも微調整した。肩への負担を減らすためトップを小さくまとめた13年型でブルペンに入った。

 「拘束」から解放し、カーブと直球を交互にガンガン投げた。7個あるマウンドは、もちろん入り口に近い下座をチョイス。他の投手を視界に入れず、自分だけの世界に没頭した。「少々球は悪くても腕が振れているのがいい」と言えるのも不安がない証拠。周囲のペースに惑わされないよう、B組(2軍)でじっくり調整させる首脳陣の思惑通りに運び、小川2軍監督も「すごく仕上がりがいい」と話していた。

 調整が順調に進めば、23日か24日の古巣西武とのオープン戦(アイビースタジアム)登板が有力だ。「実戦もいけます」と勝負イヤーの帆足が臨戦態勢に入った。【押谷謙爾】

 ◆昨年の帆足

 11年12月に西武からFA移籍。通算75勝の実績から、春季キャンプ前に首脳陣から「開幕投手は摂津か帆足」と期待された。ところがキャンプから左肩のコンディションが上がらず、初先発は開幕15試合目となる4月15日ロッテ戦(福岡ヤフードーム=現ヤフオクドーム)。3回途中4失点で敗戦投手になり、これが1軍唯一の登板で以降はファーム暮らし。登板は3軍戦2試合、2軍戦4試合にとどまった。