昨年のパ・リーグMVP左腕が開幕投手争いに参戦する。左肘痛でスロー調整だった日本ハム吉川光夫投手(24)が、26日の広島との練習試合(名護)で実戦初登板することが19日までに内定した。沖縄・名護キャンプでは順調に投球練習を重ねており、この日もブルペンで61球を投げて実戦登板のメドが立った。打者との真剣勝負で患部に問題が出なければ、自身初の大役も狙える態勢が整いそうだ。

 苦難を乗り越え、吉川が実戦のマウンドに立つ。昨年の日本シリーズ中から左肘痛に悩まされてきたが、試合登板のメドが立った。名護キャンプ中の最後の実戦となる、26日の広島との練習試合に先発することが内定。「自分は言われたところで投げるだけです。そこ(26日)に合わせていくしかない」と冷静に話したが、オフから我慢強く、地道にケアしてきた患部の回復は順調だ。

 今キャンプでは、ひたすら直球を投げ込んできた。5日に捕手を座らせて本格投球を再開すると、1日置きにブルペン入りして状態を確認してきた。この日も直球のみ、7割の力で61球を投げた。「真っすぐが、もっといってくれれば」と、本人のイメージとはまだギャップはある。ただ、ブルペンと試合は別物。「バッターと対戦して(直球が)良くなることを僕も期待しています」と、実戦で本能を呼び覚ますつもりだ。

 回復をアピールできれば、自身初の大役も視野に入る。黒木投手コーチは「(実戦で)問題ないことを確認できれば、そういうこと(開幕投手)もあるでしょう」と、本命の武田勝の対抗馬として期待を寄せる。3月29日の西武との開幕戦(西武ドーム)は金曜日。今月23日の土曜日に初登板する武田勝がローテーション的には有利だが、本来の投球を取り戻せば逆転の可能性も十分ある。

 昨季14勝を挙げた吉川が完全復調すれば、チームにとっても大きい。春季キャンプ最後の実戦が、その試金石となる。【木下大輔】