日本ハムのドラフト1位大谷翔平投手(18=花巻東)が21日、フリー打撃に初登板し、大器の片りんを見せつけた。2年目の石川、松本を相手に45球を投げ、安打性の打球はわずか4本。外角中心の投球だったとはいえ、右打者2人に対し、左方向の打球は1本もなかった。17日の紅白戦で2安打デビューしたばかりだが、投手としても大きな可能性を感じさせた。今日22日からは、1軍キャンプに合流する。

 長い右腕から放たれた剛球は、うなりを上げていた。フリー打撃に登板した大谷は、本気勝負を挑んだ。「いいところもあったし、悪いところも目立っていました。力が抜けたときにいい直球がいきました。それを忘れずに、何球でも投げられるようにしたいです」。手応えと課題がはっきり見えた。

 打者を相手に投げるのは今キャンプ初めて。力が入り、制球には苦しんだ。初球から4球連続ボール。際どいコースもあったが、全体で21球がストライクゾーンから外れた。「(ボール)1個(分)高かったです。修正したい」と反省を口にした。

 それでも高卒ルーキーらしからぬ投球は、能力の高さをアピールするに十分だった。2年目の石川、松本という2人の右打者が相手だったが、左翼方向へ飛んだ打球はゼロ。外角が中心だったとはいえ、スピードボールに対応が遅れた。石川は「18・44メートルじゃなくて、15メートルくらいから投げられている感じ。バットが折れなくてよかった」と驚嘆。指先に力が入ったため、右手親指の爪で薬指をひっかき流血するアクシデントもあったが、福島チーフトレーナーは「ダルもよくあったよね」。大エースとの共通点が、力投であったことを物語っていた。

 この日のミーティングで、今日22日からの1軍合流も正式決定。今後は打者としてオープン戦に出場し、経験を積みながら投手としての練習も本格化してくる。「1軍はすごくレベルが高いので、しっかり勉強しながらやっていきたい」。二刀流挑戦が実戦モードに突入した。【本間翼】