ジャイアンが涙のプロ初安打を放った。ソフトバンク2年目の白根尚貴内野手(19)が22日、B組(2軍)の東京ガスとの練習試合(生目第2)に途中出場し、9回の初打席でサヨナラ打を放った。開星時代は巨漢エースとして甲子園を沸かせ「ジャイアン」の愛称で知られたが、野手としてプロ入り。1年目は右肘手術でリハビリに費やし、これがプロ初の実戦だった。

 白根は同点の9回2死二、三塁でプロ初打席を迎えた。バットを折りながら内角直球を振り切ると、打球は三遊間を抜けた。相手は東京ガスの右腕・山崎雄飛(24=中大)。プロ相手ではなかったが、プロ初の実戦で、サヨナラ打を放った。島根から応援に来た母みゆきさん(49)も、スタンドでガッツポーズだ。

 白根は「びっくりとうれしいの半分(ずつ)。ちゃんとリハビリしていてよかった」とかみしめた。開星時代に最速149キロの巨漢エースとして甲子園を沸かせ、「ジャイアン」の愛称もつけられた。高校通算40本塁打の長打力を買われ、内野手としてプロ入り。だが、昨年2月に右肘内側側副靱帯(じんたい)再建手術を受け、その後は単調なリハビリを続けてきた。

 月に1度福岡を訪れる母に救われた。「いろんな選手がリハビリを乗り越えている。あんたにできないことはないよ」と励まされた。子どものころに両親が離婚。母1人子1人で苦難を乗り越えてきた。記念の折れたバットを手渡すと、親子の目から涙が落ちた。

 104キロの体重は86キロまで絞った。体脂肪も25%から12%へ。1軍昇格を目指し、白根のプロ生活がスタートした。【石橋隆雄】

 ◆白根尚貴(しらね・なおき)1993年(平5)4月28日、島根・松江市生まれ。小学1年から野球を始める。開星では1年秋からエース。甲子園は春1度、夏は2度出場。高校通算40本塁打。11年ドラフト4位でソフトバンク入団。昨年2月に右肘手術。同9月から打撃練習を始めた。今キャンプから全体練習に本格参加。背番号「55」をペーニャに譲り今季から「65」。185センチ、86キロ。右投げ右打ち。