日本ハムのドラフト1位大谷翔平投手(18=花巻東)が2月28日、初のプロ野球キャンプを「100点」満点で打ち上げた。最終日のこの日はフリー打撃に登板し、今浪、鵜久森を相手に41球を投げ、安打性わずか4本に抑えた。最速は150キロをマーク。落差のあるカーブとの緩急で、打者を翻弄(ほんろう)した。3月10日の教育リーグ・ヤクルト戦(鎌ケ谷)で実戦初登板する見込みで、順調なら同21日楽天とのオープン戦(東京ドーム)で、1軍投手デビューするプランも検討されている。

 誰もが注目した二刀流挑戦は“満点”キャンプを終えた。すべての練習メニューを終えた大谷は「100点でいいと思います。ピッチングもバッティングもいい練習ができました。課題も出たけど、反省が出た方が成長できる」と、晴れやかに振り返った。2軍スタートも、22日からは1軍に合流。投打両方で新人離れした能力を証明した。

 最終日には、圧巻の剛腕ショーが待っていた。1軍合流後初めてのフリー打撃登板。今浪、鵜久森を相手に、41球を投げて安打性の打球はわずかに4本、最速は150キロをマークした。「最初は置きにいった部分があったけど、途中から腕を振って速いボールを投げたらまとまりました」。100キロのカーブとの緩急は、試合になれば大きな武器となりそうだ。

 球種を予告して投げる宣言投球ながら、計3つの空振りも奪い、見逃したボールにも「ストライクがあった」(捕手を務めた中嶋兼任コーチ)。鵜久森は「手元で速いし、すべてにおいてすごい。(フォームの)ゆったりとしている感じがダルに似ている」と、同学年の元チームメートを引き合いに出した。

 あえてマウンド後方の遊撃手付近から見守った栗山監督は「見ていて、進化させてあげなきゃと思った。最初に見た時に衝撃を受けて、それを知っているので、もっとすごかったし、もっとできる」と辛口ながら、表情は自然と緩んだ。今後は3月10日教育リーグ・ヤクルト戦(鎌ケ谷)で実戦初登板する見込みで、さらに調整が順調に進めば、同21日のオープン戦楽天戦(東京ドーム)で1軍投手デビューすることも検討されている。

 フリー打撃に登板した約30分後には、マウンドから打席へと場所を変えて、41スイングで5本の柵越え。野手としては、6日の巨人戦で札幌ドームデビューする予定だ。「地元ですし、自分のプレーができたらいいなと思います」。壮大な夢は、果てしなく広がっている。【本間翼】<大谷翔平キャンプアラカルト>

 ◆初日から3往復

 2軍・国頭で2月1日から二刀流練習がスタート。野手組使用の本球場と投手組が使うサブグラウンドを3往復。

 ◆プロ初アーチ

 2日のフリー打撃で7本の柵越え。うち4本は中堅122メートル付近に飛ばす。

 ◆初ブルペン入り

 3日、捕手を立たせたまま42球(カーブ8球、スライダー4球)を投げた。フリー打撃では63振で柵越え1本。疲れた表情で第1クールを終了した。

 ◆初遊撃でパニック

 5日には内野陣のけん制、サインプレー練習に参加。複雑な動きが求められる実戦形式にミス連発。練習を3度中断させる形になり「動きを合わせたりするのが難しい」。

 ◆初打席初安打

 17日の紅白戦で実戦デビュー。4回の初打席で谷元から三遊間を抜く安打を放つなど4打数2安打。

 ◆併殺デビュー

 22日に1軍の名護キャンプに合流。23日の阪神とのオープン戦で4回1死満塁のチャンスに代打で登場。結果は投ゴロ併殺打。

 ◆フル出場

 26日の広島との練習試合で3番・右翼でフル出場。5回に広島中崎から右前打を放ち4打数1安打。直前に空振りした変化球と同じボールにバットを合わせ、対応力を見せた。