<オープン戦:中日8-7西武>◇10日◇小牧

 オープン戦最多の8得点で勝っても、中日高木守道監督(71)の「怒りメーター」は振り切れたままだった。試合後、球団広報が「監督、こちらで」と呼びかけたベンチ裏会見を完全無視。即刻荷物をまとめると「おはらいしてもらってくるわ!」。9日の故郷岐阜での大敗は無言の会見拒否だったが、この日はたった一言。連日のふがいない試合に、顔は真っ赤だった。

 怒りの要因は相次ぐ若手先発陣の背信投球だ。先発山内こそ4回1失点と好投したが、期待の2番手大野が3回2/3で5安打5失点。キャンプ中の実戦から精彩を欠く投球が続き、とうとうこの日8回の3イニング目は、罰則的な途中降板を命じた。昨季4勝を挙げ、文句なしで今季先発に計算したい男のモタモタ続き。そこに「おはらい」したいほどのイラ立ちがあった。

 開幕3週間を切ってもローテの5、6番手が決まらない。確定は吉見、中田賢、山内、山本昌の4人だけ。大野や前日3失点の伊藤をはじめ岩田、西川らが再三のチャンスを生かしてくれない。怒りのマグマは2月から煮えたぎっていた。

 8回の裏は、野手にも鬼になった。無死一塁のバントのサインで、2球目のストライクを見逃した堂上直を罰則的に交代。カウント1-1から代打岩崎恭を送った。井上打撃コーチは「シーズンでは考えられないけど、監督が思いついたのでしょう。生き残っていくために直倫も一発で決めないと」と代弁。V奪回へに挑む厳しい姿勢を示した。

 今日11日は巨人と今季初対決。先発西川をはじめ、若竜がどう果敢に立ち向かうのか。監督の怒りを鎮めるには、孝行息子の登場しかない。【松井清員】