阪神福留が開幕ダッシュの“使者”となる。開幕を翌日に控えた独特の緊張感の中、福留孝介外野手(35)は別次元にいるようにリラックスしていた。28日、神宮球場でフリー打撃、外野守備などで汗を流した後、笑顔で言った。
「(他の試合と)全然、一緒やと思うんだけどな。違う?
でも、1年で一番試合が終わると疲れる試合ではあるね。不安もないし、やりたいことはある程度やれた。いいスタートが切れるんじゃないかな」
気負いすぎず、自然体でシーズンに入る“メジャー流”で開幕を待つ。その上で確たる自信も秘めている。それもそのはず、福留は開幕男であり、燕キラーであり、館山キラーなのだ。
まず、開幕ゲームは日米通算13試合で48打数17安打、打率3割5分4厘、3本塁打、12打点。記憶に新しいのはカブス時代の08年、メジャーデビューとなった開幕ブルワーズ戦の9回、同点3ランを放ったシーンだ。開幕ヤクルト戦に限定しても、3試合で12打数4安打、打率3割3分3厘と結果を残している。
さらに、ヤクルトの開幕投手である館山ともヘビとカエルの関係にある。通算で28打数14安打、4本塁打、6打点と相性は抜群。チームは昨季、館山に6戦して、0勝4敗とひねられたが、相手に心理的重圧を与えるという意味でも、福留の存在は大きいだろう。
「まだ(開幕について)何も考えてない。明日、ユニホーム着て、球場に来て、どう思うか。ケガせずに1年間やることが大前提。その中で、チームが勝つこと。最後に、みんながいい思いできるようにしたい」
6年ぶりに日本球界に復帰した。かつて甲子園に愛された男は、阪神を優勝させるためにタテジマに袖を通した。虎革命の使命も背負った戦いが、いよいよ幕を開ける。
【鈴木忠平】