<中日2-4DeNA>◇30日◇ナゴヤドーム

 春の珍事とは言わせません!

 DeNAが中日の反撃を振り切って開幕2連勝を飾った。アレックス・ラミレス外野手(38)の2000本安打にあと4本とする2点適時打などで4点を奪い、投げてはベテラン三浦大輔投手(39)が8回途中2失点の力投。00年以来13年ぶり、今世紀初のシーズン連勝スタートに中畑清監督(59)もご機嫌だった。

 中畑監督は上機嫌でベンチ裏に引き揚げてきた。たかが2連勝。だが、DeNAにとっては今世紀初となる開幕連勝スタートでもあった。「本当に?

 オレは2年目だから長くは感じていませんが、できたらどんどん続けていきたいですね」。前日29日は4番ブランコの3打点など、補強した主砲の活躍で制した。この日は一転、昨年掲げた“セコイぜ野球”を実践するような戦いだった。

 3回、2四球と盗塁で1死二、三塁とすると、石川の二ゴロが野選を誘い、無安打で先制した。さらに続く内村の左前適時打で加点すると、締めはラミレス。2死満塁からの2点適時打で一挙4点を挙げた。足を絡めての攻撃に、中畑監督は「やっと足を絡める攻撃ができたね。これをやりたかったのよ。足を絡めた野球は相手に与えるプレッシャーが大きい」と、内容を高く評価した。

 この4点で乗ったのは、監督だけではなかった。先発三浦も「序盤で4点差があったので、打者勝負ができた」と、ピンチでも強気の投球を披露。最速は141キロながら、要所で内角を挑み、7回まで三塁を踏ませなかった。8回に2点を失ったものの、きっちり試合を作ったベテランを中畑監督も称賛。「大胆なところは大胆にいって、タイミングを外すところは外して。彼の投球術は見事」と期待通りの投球をたたえた。

 球場入りの際に、いつもは開いている選手バス入り口のシャッターが閉まっているアクシデント?

 に見舞われた。中畑監督は「胸張って入って来ようと思ったらいきなりこれだよ」と出はなをくじかれ苦笑いを浮かべていたが、そんな洗礼も乗り越えた。昨季はわずか3回しかなかった3連勝も見え、「こんなに早くそんな話に参加できるとはね。めったにないから、せっかくのチャンスをものに出来ればいいな」と、にやりと笑った。

 キャンプ中から目指してきた開幕ダッシュが実現できそうな勢いだ。それでも最後は「また苦しい時がくる。(勝ち負けが)トントンになるときがくるから。それが人生さ」と、らしい言葉で気を引き締めた。まだ2戦だが、されど2戦。最高のスタートを切ったのは間違いない。【佐竹実】

 ◆DeNA単独首位

 セ・リーグはDeNAだけが2連勝。セ・リーグの順位は勝率で決まり、同勝率の場合は勝利数の多いチームが上位。2勝のDeNA、1勝1分けの巨人はともに勝率10割だが、勝利数の多いDeNAが1位、巨人は2位。DeNAの「単独首位」は07年5月3日以来。

 ▼DeNAの開幕連勝発進は、開幕4連勝した00年以来、13年ぶり。00年の開幕カードはホームの阪神戦で、敵地の開幕カードで○○は、ナゴヤ球場の中日戦で2連勝した94年以来、19年ぶりだ。3月は残り1試合で、今月は「勝ち越し」が決定。DeNAの月間勝ち越しは07年10月(5勝4敗)以来で、08年3月から38カ月も続いた月間負け越し記録をようやく止めた。

 ▼三浦が今季初登板を白星で飾り、プロ2年目の93年から21年連続で勝利を記録。連続シーズン勝利は85~07年工藤(横浜)と88~10年山本昌(中日)の23年で、三浦の21年は4位タイ。同一球団で21年以上は中日で23年の山本昌、広島で21年の大野に次いで3人目。