お家の一大事を、球界最年長の大ベテランが救う。47歳の中日山本昌投手が今日9日に出場選手登録され、そのままヤクルト戦で今季初先発する。インフルエンザ感染などによる調整遅れで開幕ローテからは外れたが、自身の開幕はチームが“投壊”で3連敗中の大ピンチでやって来た。本拠地ナゴヤドームに「救世主」の期待を背負って登場。プロ30年目のシーズンが幕を開ける。

 山本昌のプロ30年目がスタートする。1年目はロス五輪の年。その時からずっと戦いの場に居続ける。現役30年は工藤公康氏(日刊スポーツ評論家)の29年を上回る史上最長。今季はインフルエンザ感染などで出遅れた。「自分の中の開幕戦」と位置付けたヤクルト戦が、晴れの日になる。

 「(オフも練習し)去年から準備してきた成果を出す時が来た。頑張らないといけない。調整はしっかりやれた。こういうチーム状況ですし、少しでも力になれれば」

 チームは開幕から9試合を戦い借金3。投手陣が総崩れし苦しんでいる。エース吉見も右肘の不安で出場選手登録を抹消中。47歳は「救世主」としての期待を背負う。高木監督は「あんな年寄りに期待を負わせるのは大変だけど、今の状態なら若い投手のお手本になってくれると期待している」。山本昌も「あんまり年寄りに期待されても困る」と照れたが、実際はだれもこの左腕を「年寄り」なんて思っていない。

 経験がある。前カードの巨人3連戦(東京ドーム)で投手陣は計8発を浴びた。ボールが飛ぶのでは?

 こんなうわさも投手陣を惑わす。山本昌はへっちゃら。「飛ぶボール、飛ばないボール…。いろんなボールを使ってきてますんで」と意に介さない。

 若い。気持ちも若い。テレビの囲み取材で「来年は50歳ですが」と言われると即座に突っ込んだ。「来年50じゃないよ(49歳)。1年早いよ」。勝てば、自身が持つ先発での最年長勝利記録も更新する。数々の年長記録更新の期待とともに大ベテランの30年目が始まる。【八反誠】