巨人追撃の切り札や!

 阪神ドラフト1位藤浪晋太郎投手(19=大阪桐蔭)が6月中に「完投」「完封」が解禁になることが分かった。中西清起投手コーチ(50)が22日、今後の完投について「4、5月はない」と説明。順調なら交流戦終盤にリミッターが解除され、首位巨人を追いかけるリーグ戦再開後にもフルスロットルになる。余裕の7回83球で降板した前日21日ヤクルト戦でプロ2勝目。これで全開になったら…どこまで行くんだ!

 大物ルーキーの初完投、初完封は、夏も近づく6月なのか。着実にスターへの階段を上がらせる「藤浪シフト」が判明した。前日21日、ヤクルト打線をねじ伏せ、2連勝を飾った19歳。7回83球での無失点に「完投しろと言われたらできた」と余裕たっぷりだった。和田監督が「まだマックスを見ていない。それが楽しみ」と言うように、「次はそろそろ完投…」の期待もおかしくない。そんな風潮に待ったをかけるのが中西コーチだ。今日から今季初の9連戦を受けて言う。

 「9連戦でリリーフを使っていても、無理して藤浪を9回に行かせることはない。4、5月はないと思っていい。(21日は)だいぶ余力が残っていた」

 血気盛んな19歳の逸材だからこそ、あえて手綱を締める。デビュー戦の3月31日ヤクルト戦こそ105球で6回を投げ切らせた。それも中西コーチは「勝たせたかったから。(それ以外)100はまだ超えていない」と例外とする。無理して故障させることがあってはならないと、リミッターを外さない。

 中西コーチは「キャンプ、オープン戦、開幕と球数的にも、他の投手と比べて1カ月ずれている。4月マックスで入っていない。先のある投手だから」と続ける。仕上がり途上ではや2勝するのが、藤浪の並ではないところ。そして、持てる能力を全開させるのは6月以降だ。

 春夏連覇した昨年の甲子園大会では9試合中、8試合で完投し、夏の準決勝、決勝と連続完封した。スタミナと完投能力をプロでも発揮できれば、交流戦を終え、おそらく上位を走る巨人を追いかける大きな軸となる期待もかかる。

 無限の可能性…。夢の広がる藤浪は甲子園で軽いジョギングなどを行い、疲労軽減に努めた。「今日、疲労もないですし(祝福の)メールも、それなりに来ましたよ」。まだ制限内の次回登板は28日DeNA戦の予定。99年西武松坂を超える4月中3勝のロケットダッシュがかかるが、そんな話題にも惑わされず冷静だ。

 「勝てればもちろんいいけど、4月にどれだけ勝てるかよりも、年間トータルでどれだけ勝てるかの方が大事だと思っています。そこまで意識していません」

 登板を重ねるごとに投球動作の安定感も増してきた。4月の藤浪フィーバーは、ほんの序章に過ぎない。