鬼門突破いつやるの?

 今でしょ!

 阪神福留孝介外野手(35)が苦手ナゴヤドーム攻略の“講師”になる。和田政権初の4連勝、今季最多貯金3と勢いに乗る阪神は今日23日から敵地で中日と3連戦。昨季も2勝9敗1分けと惨敗した鬼門でも、中日の主砲として同球場で打率3割1分8厘を誇った福留が心強い。チームの苦手意識に首をかしげる福留がプレーで勝利を指南する。

 和田政権初の4連勝を成し遂げた。貯金を3に伸ばした。いくつもの壁を打ち破って、ようやくつかみつつある本物の強さ。移動日の22日、主力選手は休養した。福留自身もプロ入りから9年間を過ごした名古屋へ入り、心身ともにリフレッシュした。

 元本拠地からは歓迎の拍手がわき起こるのか、ブーイングにさらされるのか。07年以来、6年ぶりの“凱旋”を前に、こう語っていた。

 「オレは逆になぜ、チームがそんなに苦手意識があるのか、それがわからない。自分としては苦手なんて思わないし、むしろ他の球場よりも明るくて(ボールが)見やすいなと思っているぐらい。まあ、実際に試合をナゴヤドームでやってみれば、いろいろわかることがあると思う」

 福留が知らない阪神。これまで虎は、ナゴヤドームに足を踏み入れた途端、猫になってきた。広い球場、相手の投手力に屈して打線は沈黙。ロースコアの守り合いで敗戦を重ねた。昨季は1試合平均得点が1・5点という惨状だった。

 そんな猛虎に染みつくナゴヤアレルギーは、福留にとっては疑問でしかない。事実、同球場での通算成績は打率3割1分8厘、83本塁打、292打点と抜群の実績がある。中日の主砲として首位打者、MVPを獲得し、ドーム中の喝采を一身に集めてきた。日本復帰後、初の名古屋遠征。今回、仲間たちが抱く苦手意識の正体を確かめるつもりだ。

 「やる前にああだこうだと考えるより、実際にやってみて感じたい」

 先入観を嫌い、自分が感じたことを大切にする男だ。虎の鬼門に立ち、プレーしてみて、感じることに神経を研ぎ澄ませる。その結果、取り越し苦労に終わるのか、確固たる原因が存在するのか。タテジマに着替えた福留が、ナゴヤドーム突破の先頭に立つ。【鈴木忠平】

 ▼阪神はナゴヤドームで通算60勝127敗5分け、勝率3割2分1厘。開場した97年以降の16シーズンで、年間勝ち越しは05、07、08年の3度のみ。1勝に終わった年が99、00、06年と3度ある。16年間のチーム通算打率は2割2分9厘で、同じ期間の他球場での通算2割6分2厘を下回る。昨季のチーム打率2割1厘も、セ本拠6球場で最低。